金曜日に発表された非農業部門雇用者数のデータは、米国の労働市場が引き続き堅調であることを示し、安定した雇用の増加により米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げをさらに先送りする可能性があり、先物市場の取引ではFRBが6月に利下げを実施する確率が50%まで低下すると予想されている。米国債10年ものの利回りは4.39%と今年の高値まで戻り、ドル指数も連続下落した後反発した。
米国株は全体に高値で始まり、上昇の勢いを維持し、S&Pとナスダックは1%以上の上昇で引けた。
金融商品では、WTI原油とブレント原油先物が7日間連騰し、2023年10月末以来の高値を更新した。金価格は継続して堅調、スポット金価格は一時1オンスあたり2330ドル(約35万3700円)に達した。LME銅価格は4日連続で上昇した後小幅に下落し、4月第1週は5.4%上昇して引けた。
理論的には、FRBの利下げ延期は金利が高止まりすることを意味し、米国株と金融商品の両者にとってマイナス要因となる。一方では流動性の観点から、市場は今度の利下げがリスク資産を押し上げると予想しており、ビットコインや大口金融資産などを含む流動性に敏感な資産が上昇すると見ている。他方、利下げ期待による需要の改善が、米国株と金融資産のファンダメンタルズを好転へと向かわせる。
業績レベルでは、米国株の収益は2022年第4四半期から2023年第3四半期まで3四半期連続で縮小したが、昨年後半から回復傾向にある。ファクトセット(投資家データベース)によれば、S&P500構成企業の2024年第1四半期の収益は3.2%増となり、3四半期連続の増益が見込まれている。
米国株の業績後退との決別は、米国の経済成長が堅調であることと切り離せない。アトランタ連銀GDPナウの最新予測では、2024年第1四半期の米国の実質GDP成長率は2.5%となっている。
産業政策と消費の強靭さを受け、米国の設備投資と商品輸入は引き続き増加し、低水準にある在庫も需要を支えている。米国経済のこの強靭さも世界の製造業の回復を牽引した。
今年1月に世界の製造業PMI(購買担当者景況指数)が拡張ゾーンに戻って以来、今年の3か月間、世界経済は着実に上昇の兆しを見せた。
まだサービス業が主導しているとはいえ、3月までの世界の製造業の生産高は3か月連続の成長を達成し、3月の回復ペースは明らかに加速し、2022年6月以来の最大の増加となった。
特にインドやブラジルに代表される新興市場の生産高は2023年5月以来の大幅な伸びとなって15カ月連続で増加し、同時に新受注も連続5カ月で増加し、3月は過去9カ月で最大の伸びとなったと報告されている。
今の世界経済は依然として米国「一人勝ち」の局面を呈しており、先進国のなかではユーロ圏と日本が成長を再開したにもかかわらず、その成長幅は限定的であり、依然として消費者信頼感指数と企業信頼感指数の臨界値を下回っているため、現在の製造業の回復の中心はやはり主に米国と関連の産業チェーンの関係国によって牽引されている。
神月 陸見 Mathilda Shen
フィンロジックス株式会社の代表取締役社長。金融学と哲学の修士号を持っており、復旦大学証券研究所の講師、 Project Management Professional (PMP) 、上海華僑事業発展基金会のファンドマネージャー。
Email: mathilda.shen@finlogix.com
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