翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の仮想通貨に関する法制度ガイド その72

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、従業員服務の自主規則として、暗号資産交換業に係る従業員等の服務に関する規則・ガイドラインを規定しております。今回は認定協会のこの規則・ガイドライン(以下「従業員服務規則」という)を紹介します。

  • 禁止行為

「従業員服務規則」第3条によると、会員は、協会の規則に従い、従業員等が次の各号に掲げる行為を行うことのないようにしなければなりません。

(1)法第63条の9の3に掲げる行為。

(2)利用者の同意を得ずに、当該利用者の計算により暗号資産関連取引(ただし、暗号資産関連デリバティブ取引を除く。以下同じ。)を行うこと。

(3)利用者の注文を会員に通さずに、他方で当該利用者に対しては注文を会員に通したかのように装って、自らが相手方となって暗号資産関連取引を行うこと。

(4)利用者情報等により知り得た資金の額その他の事項に照らし、過当な数量の暗号資産関連取引の勧誘を行う行為。

(5)利用者に対し自己の計算において手数料の割引、割戻しその他これらに類似する特別の利益の提供を約束し、又はこれを実行すること。

(6)利用者に対して融資又は保証その他これらに類似する特別の便宜を提供することを約して暗号資産関連取引の勧誘をすること。

(7)利用者に対し、明らかに暗号資産信用取引における保証金となるような信用の供与を行うこと。

(8)利用者と損益を共にすることを約して暗号資産関連取引を勧誘し、又はこれを実行すること。

(9)利用者の委託に係る暗号資産関連取引について、自己若しくはその親族その他自己と特別の関係のある者の名義又は住所を使用させる行為。

(10)利用者が本人名義以外の名義を使用していることを知りながら当該利用者から、暗号資産関連取引の受託等を行うこと。

(11)利用者が反社会的勢力であることを知りながら、契約の締結をすること。ただし、暗号資産取引及び暗号資産取引市場から反社会的勢力を排除するときを除く。

(12)利用者から会員に交付するために預託された金銭、暗号資産その他の財産又は会員から利用者に交付するために預託された金銭若しくは暗号資産その他の財産を、特別な理由がないにもかかわらず、遅滞なく、相手方に引き渡さないこと。

(13)会員から利用者に交付するために預託された業務に関する書類を、特別な理由がないにもかかわらず、遅滞なく、当該利用者に交付しないこと。

(次回へ続く)