一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、苦情・紛争解決の自主規則として、暗号資産交換業に係る苦情処理及び紛争解決に関する規則、並びにその細則を規定しております。
今回は認定協会の「暗号資産交換業に係る事故の苦情処理及び紛争解決に関する規則」(以下「苦情・紛争解決規則」という)を紹介します。
「苦情・紛争解決規則」第4条によると、会員は、利用者から業務に関する苦情等の申出がなされた場合に対し、以下の内容を含む苦情処理体制を構築する必要があります。
(1)苦情等に対し迅速かつ適切な処理、対応ができるよう、苦情等に係る担当部署及び処理手続の制定
(2)利用者が簡便かつ容易に苦情等の申出ができるよう、苦情等窓口の充実化
(3)苦情等の内容が経営に重大な影響を与え得る事案であれば内部監査部門や経営陣に報告する等、事案に応じ必要な関係者間で情報共有が図られる体制
(4)苦情等申出を行った利用者に対し、対応状況についての説明等、適切なフォローアップがなされる体制
(5)苦情等の内容は、正確かつ適切に記録、保存されるとともに、蓄積と分析を行うことによって、勧誘体制や事務処理体制の改善、再発防止策の策定に十分活用される体制
また、会員は、暗号資産交換業者が行った利用者の保護に欠ける行為に関する情報その他利用者の利益を保護するために必要な情報として以下のものを取得したときは、これを協会に報告する必要もあります。
(1)資金決済法第63条の2の登録を受けないで暗号資産交換業を行っている者を知ったときは、その者及び当該者が行う暗号資産交換業に関する情報
(2)その他利用者の利益を保護するために協会が必要と認める情報
「苦情・紛争解決規則」第5条によると、会員は、苦情を処理するための措置として、利用者からの苦情の処理の業務に従事する使用人その他の従業者に対する助言若しくは指導を消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談その他の消費生活に関する事項について専門的な知識経験を有する者として暗号資産交換業に関する府令で定める者に行わせること又はこれに準ずるものとして府令第32条第1項(第2号を除く。)で定める措置を講じなければなりません。
また、第6条によると、会員は、協会が協定書を締結する弁護士会によるあっせん又は仲裁手続により、暗号資産関連取引に関する紛争の解決を図るものとします。この場合において、会員は、当該弁護士会が行う手続に関する規程等及び協会と弁護士会との間の協定書並びに協会及び弁護士会に対する確認書に従い対応するものとし、例えば、当該弁護士会から、特別調停案が提示された場合には、資金決済法第101条で準用する銀行法第52条の67第6項各号に規定する場合を除き、これを受諾しなければなりません。
ちなみに、会員は、前項の紛争解決措置に加え、利用者との紛争の解決を認証紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151号)第2条第3号に規定する認証紛争解決手続をいう。)により図ること又はこれに準ずるものとして府令第32条第2項で定める措置を自ら講じることができます。
(次回へ続く)
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