インバウンド回復で少数言語を話せるガイドの需要が急増

中国の国境通関地が最近、賑わいを見せている。さまざまなインバウンド促進措置が実施されるようになっているのに続いて、中国が12月1日から、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、マレーシアの6カ国の一般旅券(パスポート)所持者を対象に、ビザ免除措置の実施を始めたからだ。

少数言語を話せる

人材の供給不足

1日から3日までの3日間、6カ国からの中国への入国者は増加し続け、その数は合わせて延べ1万8000人となり、1日当たりの平均入国者数は11月30日と比べて39%増となった。

ただ、インバウンド客が急増したことで、中国の多くの旅行会社は、「観光客は戻って来たが、英語以外のイタリア語やスペイン語、ロシア語、アラビア語といった少数言語を話せるガイドをどうやって見つければいいのか?」と戸惑いを隠せない。

浙江新世界国際旅行社のヒューマンリソースマネージャー・林国強さんは最近、年末となり、この1年の総括を進めているほか、今後、インバウンド客が爆発的に増加する可能性があるため、それに対応すべく、少数言語を話せるガイドを探さなければならないため、大忙しとなっている。

実際には、少数言語を話せる人材の供給不足は、これまでずっと文化・観光業界の発展の足かせとなってきた。大まかな統計によると、新型コロナウイルス発生前、中国のガイドの数は約60万人で、うち外国語を話すことができるガイドは約10%だった。

そのうちのほとんどが英語のガイドで、少数言語を話せるガイドとなると3%未満だった。加えて新型コロナウイルスの影響が3年も続き、ガイドが大幅に減少し、少数言語を話せるガイドの数は、市場の需要に追い付かず、かなり不足している状況となっている。

 

少数言語を話せるガイドの

需要は今後ますます高まる

上海のある訪中外国人観光を扱う旅行会社で、イタリア語を話す観光客を相手としたガイドをしている1995年生まれの施洋さんは、明るい性格で、テキパキと仕事をこなし、明確なキャリアプランも描いている。

施さんは、「いろんな所に行ってみたいというのもあるし、『自分は不足している分野の人材である』という優越感に浸るためでもある。現在、少数言語を話せるガイドを手配できないため、仕方なく英語を話せるガイドを手配して何とかしのいでいる旅行会社も多いが、それではあまりうまくいかない。今後、インバウンド客の旅行体験を向上させるためには、相手の話す言語に合わせたガイドを手配する必要がある」との見方を示す。

ある旅行会社の責任者は、「中国のインバウンド・アウトバウンド市場が継続的に発展するにつれて、少数言語を話せる人材の需要もどんどん高まるだろう。この分野の仕事の前途は明るい」との見方を示している。

中国文化・観光部は先ごろ、「外国語を話せるガイド、特に少数言語を話せるガイドが今、不足している。この種のガイドの育成を強化し、関連当局と積極的に意思疎通を図り、人材供給を最適化し、インバウンド・アウトバウンド市場の発展に人材という下支えを提供できるよう取り組む」とした。