翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その69

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、損失補填等の禁止・事故確認申請の自主規則として、暗号資産交換業に係る損失補塡等の禁止に関する規則、暗号資産交換業に係る事故の確認申請・調査及び確認等に関する規則 を規定しております。

今回は認定協会の「暗号資産交換業に係る事故の確認申請・調査及び確認等に関する規則」(以下「事故確認規則」という)を紹介します。

  • 社内管理体制の整備等

「事故確認規則」第3条によると、会員は、事故の適正な処理を図るため、事故の社内審査、事故確認申請手続及び事故報告手続に関する社内管理体制の整備並びにその適切な運営に努めなければなりません。

会員は、この社内審査及び各手続に関する法定帳簿その他の書類及び記録を整理及び保存し、適切に管理しなければなりません。

 

  • 事故確認申請及び事故報告

「事故確認規則」第4条によると、会員は、代表者等の事故による損失の全部又は一部につき補塡行為を行う場合には、前回紹介した「損失補塡禁止規則」第5条1号から 10 号に掲げる場合を除き、当該補塡に係る損失が事故に起因するものであることにつきあらかじめ認定協会の調査及び確認を受けなければなりません。この調査及び確認を受けようとする会員は、「損失補塡禁止規則」第 6 条に定めるところにより、同規則第 7 条各号に掲げる事項を記載した所定の様式による事故確認申請書を認定協会に提出しなければなりません。

 

また、 認定協会は、会員から上記の規定により、事故確認申請書の提出があった場合には、当該事故確認申請書に記載された補塡に係る損失が事故に起因するものであるかどうかを調査及び確認します。認定協会は、上記の調査及び確認のため必要と認めるときは、事故確認申請書を提出した会員に対し、その内容につき説明を求め、又は証拠書類等の提出を求めることができます。会員は、認定協会の求めがあったときは、正当な理由なく、これを拒んではなりません。

認定協会は、会員から提出された事故確認申請書に記載された利用者に対する支払が、事故による損失を補塡するために行われるものであるかどうかについて調査及び確認を行った場合には、速やかに、その内容を当該会員に回答します。

 

さらに、「事故確認規則」第7条によると、会員は、「損失補塡禁止規則」第5条第1項第9号及び第 10 号の規定に基づき認定協会の調査確認が不要とされる事故について補塡行為を行ったときは、当該補塡行為を行った日の属する月の翌月末日までに、同規則第 7 条各号に掲げる事項を記載した所定の様式による報告書により、認定協会に報告をしなければなりません。認定協会は、この場合において必要と認めるときは、当該会員に対し、その内容につき説明を求め、資料等の提出を求めることができます。

    (次回へ続く)