百年の旅路から未来への一歩を示す
ウイスキーフェスティバル2023in東京が開催

 

12月2日、3日の二日間にわたり、東京のベルサール高田馬場で「ウイスキーフェスティバル2023in東京」が盛大に開催された。日本のウイスキー造りが100年の歴史を迎える記念すべき年に、国内の主要なウイスキー製造者が協力し、「ウイスキー100年プロジェクト-Fellow Distillers-」を発足。2日午前、その5社のブレンダーが集結し、スペシャルトークショーが行われた。

このプロジェクトの核心は、各社がそれぞれの原酒を持ち寄り、新たなブレンドを創出することにあった。これにより、日本のウイスキー造りにおける百年の旅路と、今後の革新的な一歩が示されたと言える。

各社は、長年の経験と技術を共有し、新しいウイスキーの創造を目指した。プロジェクトにおける他社との協力と競争のバランスは、参加者たちにとって重要な要素だった。

彼らは、競合という言葉を避け、互いを「ウイスキー仲間」と見なしていた。この姿勢は、日本のウイスキー業界がお互いに協力し、共に成長することを重視していることを示している。ブレンダーたちは、単にウイスキーを造ることだけではなく、お互いの原酒を知り、それを活かすことで、ジャパニーズウイスキーの質を高めることを目指している​​のだ。

このプロジェクトは、長年の愛飲者への感謝と尊敬の念を込めたものであったという。この日、各社から提供された独自のウイスキーはイベント限定で、来場者は各ブースで試飲を楽しむことができた。

 

現在、ジャパニーズウイスキーは国際的にも高い評価を得ているが、過去100年間、日本のウイスキー業界は数多くの挑戦と変革を経験した。トークショーに登壇したブレンダーたちは、この長い歴史を振り返り、ジャパニーズウイスキーの進化について語った。

特筆すべきは、各社がウイスキー業界の未来に対して抱く希望と期待である。

キリンビール株式会社の田中城太マスターブレンダーは、ウイスキー製造における長年の経験と知恵を共有し、新しいウイスキーを創造することがプロジェクトの核心であると述べた。

サントリーの福與伸二チーフブレンダーは、100年前に挑戦したスモーキーなウイスキーのリベンジに言及し、今後の業界の成長が、ウイスキー愛飲者への感謝と品質へのこだわりに基づいているべきだと述べた。

ニッカウイスキーの尾崎裕美チーフブレンダーは、同社の創業90周年を明年に控え、過去の苦難を乗り越え、今日に至るウイスキー業界のブームを振り返り、これからの挑戦に前向きな姿勢を示した​​。

ベンチャーウイスキー株式会社の肥土伊知郎マスターブレンダーは、ミズナラ樽で熟成されたウイスキーが、日本のウイスキーに独特な風味と特徴を与えることに注力していると述べ、今回のプロジェクトが自身のブレンダー人生において重要な経験であったと話した。

本坊酒造の久内一チーフブレンダーは、原酒の多様性と個性の調和を重視し、ウイスキー造りにおける企業としての個性と協力の必要性を強調。神秘的で魅惑的なウイスキーを味わってもらいたいと語った。

 

主催者でウイスキー文化研究所代表の土屋守氏は、「地球が沸騰しているように、ウイスキー業界も沸騰しており、今回のプロジェクトは、日本国内だけでなく世界的にも注目されている。日本のウイスキー業界における新たな可能性を象徴する取り組みとして、業界が新しい時代に向けて進化し続けることを期待している」​と語る​。

「ウイスキーフェスティバル2023in東京」は、日本のウイスキー業界にとって重要なマイルストーンであり、次の100年に向けた新しい道を開くきっかけとなった。各社が示した協力の精神と、品質向上への取り組みは、ジャパニーズウイスキーの今後の発展と国際的な成功を約束するものである。今回のイベントは、まさにジャパニーズウイスキーの過去、現在、未来をつなぐ重要な架け橋となり、業界に新たな活力をもたらしたと言えよう。