<アフターコロナ時代の日中関係>(7)
日中有識者民間対話『第19回北京―東京フォーラム』が共同宣言
「日中はアジアと世界の平和と繁栄に責任を」

日中両国の有識者民間対話会議「第19回北京―東京フォーラム」(中国国際伝播集団、言論NPO主催)が10月下旬に北京で4年ぶりとなる対面方式で行われ、共同宣言「北京コンセンサス」(要旨以下)を採択した。


日中両国の平和友好協力の諸原則を定めた日中平和友好条約が45周年の節目の年を迎える。この条約の異議は国連憲章と平和の原則を守り平和的に解決する点にある。アジアと世界の平和と繁栄に責任を負う日中両国が共に力を合わせて責務を遂行することが重大な課題である。
今回確認した一つ目は、アジアにおける緊張緩和と紛争回避のためにこの条約を機能させること。二つ目は、世界やアジアに平和と安全の秩序を構築することで合意し、その実現へあらゆる努力を始めるべきだという点だ。まず両国はあらゆる対話を軌道に乗せなくてはならない。
この地域の「平和と繁栄」へ、国交正常化後の四つの政治文書で定めた「我々の責任」を果たすために、日中両国はハイレベル交流を一層促進し、常設対話のシステムを設置すべきである。
ウクライナ戦争の長期化とその後勃発したイスラエルとパレスチナの衝突を懸念し、国連憲章に基づく主権と領土の一体性の尊重や、紛争の平和解決を擁護。全ての戦争のエスカレートに反対し、外交交渉による停戦に向けたあらゆる努力を支持する。
世界の分断に向けた動きをこれ以上悪化させず、持続的で包摂的な世界経済を実現すべきである。経済の全てを安全保障で考えるべきではなく、経済対立のリスクを管理し、信頼回復と、新たなビジネスを生み出す知恵が必要である。日中経済は相互に補完しており、環境問題、少子高齢化、潜在成長率の低下など共通の課題もある。企業に必要以上のリスクを求めず、企業活動の自主性の尊重や規制の予見可能性を高めるべきである。その上で市場化、法治化、国際化したビジネス環境の改善、および東アジア地域の経済の一体化に向け、政府間だけでなくあらゆる対話を始める必要がある。

◆日中トップが相互訪問を
―世論調査結果

この「第19回北京―東京フォーラム」を前に、言論NPOと中国国際伝播集団は東京と北京の2会場をオンライン方式で結び、中国と日本の共同世論調査(2005年から毎年実施)結果を発表した。(写真参照)
それによると、今後の世界における核戦争勃発の可能性について、遠くない将来に「あり得る」との回答は中国人が52%。日本人も39%に達した。その理由について、日中両国民ともに、「ウクライナ戦争で、核保有国のロシアが核の使用を示唆し、原発を攻撃するという、これまで考えられなかった事態が起こったから」との指摘が最も多かった。
また相手国に対する印象はこの1年でさらに悪化し、日本人の68%、中国人の41%が「悪い」と回答。こうした状況を打開するために、「政府首脳が適当な時期に相互訪問するべきだ」と見る人が中国人で49%、日本人で45%とほぼ半数に達し、日中両国民とも前年に比べ約20ポイントも増加した。