AREA:職人の知恵と 天地のエッセンスとの一期一会

日本の美意識の最高峰ともいえる東京都港区北青山の街角に、インテリアブランドAREAのショールーム「AREA Tokyo」が静かなたたずまいを見せている。温かみのある玉のような木の光沢が床から天井までのウインドウから流れ出し、丸く分厚くまた繊細な手作りの家具は、完成された職人技であることを無言で語りかけているようだ。

ここをデザインの殿堂として学び、参考にする人、また幸せな住まいの理想的なモデルと見なす人、またオーダーメイド家具の相談に遠方から訪れる人などがいる。AREAは日本の家具市場において、すでに光り輝くブランドとなった。

AREAは2003年に創業し、今年で20周年を迎えた。その業務の範囲は、家具の設計・製造・販売、オーダー家具の設計・製造、住空間デザイン、店舗展示デザイン、インテリアのデザイン・開発・製造などである。

AREAとは、英語で人間の生活空間を意味し、家族の愛と友情に支えられることで、もともと面白みのない鉄とコンクリートで囲まれた幾何学的な空間を、愛と幸福に満ちた港へと生まれ変わらせている。「素材、つくり、デザイン」という3つのコンセプトを原点として、AREAの家具は海外に輸出され、世界中の消費者から高い評価を得ている。

草木にも心がある

古代中国最長の抒情詩『離騒』も、日本最古の和歌集『万葉集』も、草木を表現の対象とし、草木の美しさを発見し賛美した歌である。『離騒』に「草木の枯れ落ちるのを思い、美しいかの人も年老いて老けゆくのを恐れた」という一節もあるように、中国人と日本人の木に対する愛情は、古来からの農耕文化の遺伝子に由来するようだ。

絶え間ない経済発展により、国力は強化され続け、中国の消費者は生活の質や製品の性能に対する要求が高くなっている。多くの訪日中国人がネットユーザーのSNS発信によって、AREA Tokyoに足を運び、オーダーメイド家具の要望をスタッフに伝えた。AREAは、中国市場に大きなニーズがあることに気づかされ、綿密な準備を経て、「チャイナセクション」を誕生させたのである。

日本の国土面積は中国の雲南省に匹敵する程度と小さいが、日本は島国であり、国土は細長く、亜熱帯、温帯、亜寒帯のいくつかの地域にまたがっている。日本の家具が中国に上陸すると、さまざまな緯度のさまざまな習慣を持つ中国の顧客ニーズを満たした。

ビーチ、ホワイトアッシュなどは比較的早く木材となり、人々に軽快で明るい視覚効果をもたらすことができ、活用範囲も最も広い。ブラックウォールナット、オークなどは美しい木目、木の香りがある純朴で飾り気のない中級木材で、経済面と審美目的を満たし、消費者に愛されている。チークなどの高級木材は、高温多湿の環境下でも安定した性能を維持し、海洋性気候に対応できるだけでなく、寒冷地のニーズにも応えることができる。これらがAREAが得意とし、誇りにしているマテリアルである。

一期一会

「玉のように滑らかで、美しい仕上げ」は、木製家具製作の最高の境地であるだけでなく、AREAが常に追求している製品の基準である。

「手間をかけただけ出来栄えが良い」。AREAの家具製品の注文は、急がせることができない。広島県の府中、福岡県の大川、飛騨高山など、日本の伝統的な家具の五大産地の職人が、最高の精緻を目指す姿勢を貫き、何千回もの研磨を経て、芸術品に匹敵する家庭用家具を世に送り出している。そして、これらの家具は、生産ラインを離れる前に何万回もの圧力テストを受けている。

無垢材は、何十年、何百年という歳月をかけて自然に成長し、太陽と月の光を浴びて、天と地のエッセンスを汲み取ってようやく得られるものだ。原木の持つ天然の木目は唯一無二であり、職人はその経験により、可塑性のある素材を選び、その特性に合わせて曲げたり継いだりする。この職人技と天地の自然との出会いは、日本の伝統文化における「一期一会」の価値観に通じるものがある。

「和」して同ぜず

明代の『長物誌』という書籍の中では、「小さなものは内部に漆が埋め込まれ、あるものは日本製で、どれも珍品だ」と賞賛されている。また、「箱」については賞賛の言葉を惜しまず、「日本の箱は黒漆に金銀の破片を埋め込み、大きいものはその蝶番と鍵と鎖が素晴らしい…また大きな違いがあり、様式は古風でエレガントだ」と記している。当時、文人が使う文房具、櫛なども日本製が高級品であった。400年前、日本製の家具、文具などが明代の文人たちに愛され、求められていたことがわかる。

中国には「君子は和して同ぜす」という言葉があるが、これはAREAの家具を的確に表現している。AREAの家具のデザインそのものが、「和」という文化的エッセンスを留めているだけでなく、さらに創造と脱構築で補っている。時代の言葉を吸収しながら、AREAは日本の伝統的な美学と伝承し打ち破り、さまざまな質感、色、光沢の木材をステンレス、銅、ガラス、大理石、御影石、皮革などのマテリアルと組み合わせることで、豊かで多様な美的効果をかき立てている。

木の一枚板から作られた長テーブルは、木の枝にある自然の溝を利用して空間の淀みを打ち破るだけでなく、自然の斑点の一部も残し、禅の趣をも添えている。「素材」、「つくり」、「デザイン」を統合させた家具は、空間全体の雰囲気を変えるのに十分であり、都会の中の落ち着いた静かな空間もまた良いものである。

緻密に計算された背もたれの曲がり具合は、背骨を効果的にサポートし、皮革のクッション部分は伝統的な造形に加え、座り心地を向上させており、実用性と芸術性、座り心地と美意識の完璧な一体化を実現している。

日本人デザイナーは国際的な舞台でたびたび賞を獲得し、日本の美意識とデザインは世界中で人気を博している。二千年の文化交流の歴史を持つ中国と日本は、仏教と儒教の影響もあり、空間デザインと住居の概念に対する理解には多くの共通の基盤を持つ。AREAは職人技の知恵と天地のエッセンスの一期一会で皆様が満足できる理想の居住空間を提供している。