『中日平和友好条約』締結45周年記念
「世界遺産 大シルクロード展」が東京富士美術館で開幕

ラクダの鈴の音、荷馬隊、山また山を越える果てしない旅、広大な山と海、足音が時空を超えて駆け巡り、不朽のシルクロードは永遠に芸術的インスピレーションを与えてくれる。

本年は『中日平和友好条約』締結45周年であり、創価学会の池田大作名誉会長の中日国交正常化提言発表55周年、東京富士美術館開館40周年に当たる。シルクロードは、東洋と西洋を結ぶ通商ルートであっただけでなく、人文交流を象徴する道であり、日本文化の発展にも大きく寄与し、その影響力は広範囲に及んだ。この度、黄山美術社の企画協力を得て、東京富士美術館、中国文物交流センター、朝日新聞社が共催する「世界遺産 大シルクロード展」のオープニングセレモニーが9月15日、東京富士美術館で盛大に挙行された。

創価学会会長で東京富士美術館名誉館長の原田稔氏が挨拶に立ち、遠来の中国文物交流センター一行、中国駐日本大使館並びに本展示会に携わった人びとに感謝の意を表し、次のように述べた。「東京富士美術館は“世界を語る美術館”をモットーに、世界各国の優れた文化を紹介し、積極的に文化交流を行い、世界の文化を繋ぐ架け橋としての役割を果たし、これまでに26カ国1地域と協力して50の大規模展示会を開催しており、特に中国との文化交流に力を入れて参りました」。

原田名誉館長はさらに、唐代の天台宗の高僧・妙楽大師の言葉「礼楽前きに馳せて真道後に啓らく」を引いて、文化こそが相互理解の第一歩であると語り、常に人間交流の先頭に立ってきた池田大作先生と「敦煌の守り人」として知られる敦煌文物研究所の常書鴻所長夫妻との深い親交を振り返り、「その深い友誼と信念の継承があって、この度の大規模な展示会が実現したことを思いますと、感慨深いものがあります」と語った。

そして、悠久のシルクロードに思いを馳せながら、文化の力で日本と中国を固く結んだ先達の精神に学び、友好と平和の未来を切り拓くことの重要性を感じとっていただきたいと期待を述べた。

中国文物交流センターの譚平主任が挨拶し、コロナ禍にあっては、中日両国の国民が互いに助け合い、共に困難を乗り越え、支援物資を贈り合う中で生まれた「山川異域 風月同天」の友好のエピソードを振り返り、次のように語った。「中日両国は一衣帯水の隣国であり、長い友好交流の歴史があります。共通の文化の伝承と絶え間ない人文交流がお互いを進歩・発展させるのであり、それは人類文明の進歩にも大きく寄与するものです。外的環境が如何に変化しようとも、人文交流は常に両国の人びとがお互いを理解するための強い紐帯なのであります」。

そして、次のように決意を語った。「中国と日本は共にアジアの主要国であり、文化交流は両国の友好交流の源泉であり、両国関係の健全な発展にとって欠かせないものです。中国文物交流センターは東京富士美術館、黄山美術社等の文化機関と連携し、平等、交流、相互学習、寛容の文明観を実践し、人文交流の道を切り拓き、人類共通の価値である文物の名品を紹介する展示会をより多く催し、新しい時代の要請に応える中日関係の構築と発展を人文交流によって支援し、輝かしい文明と歴史文化を伝え、時代精神を発揚するために、文物の展覧を通して、中日友好を擁護し、中日交流を推進し、中日協力を促進して参りたいと思います」。

元文化庁長官で、「世界遺産 大シルクロード展」の名誉顧問を務める青柳正規氏は次のように挨拶した。

「文化も制度も全く異なる中国とヨーロッパを結ぶシルクロードは、東洋と西洋の経済、文化、政治、宗教の交流に多大な貢献をしました。本展示会のために中国の各都市から集結した選りすぐりの貴重な文物がそれを証明しています」。

「シルクロード沿線の多くの都市は、現代の都市に先んじて文化的多様性を実現していました。シルクロードの文物を鑑賞し、われわれは世界平和実現のために、文化の多様性を尊重すべきであり、異なる文化への理解と異なる文化との交流が、如何に文化発展の原動力となるかを再認識すべきであると感じました。本展示会の開催にご尽力くださった両国の関係者の皆さまに深い感謝と敬意を表したいと思います」。

大使館からは、呉江浩中国駐日大使、文化処の陳諍公使参事官が出席した。呉江浩大使が挨拶し、次のように語った。

「オープニングセレモニーに先立ち、原田名誉館長と共に展示を鑑賞させていただきました。短い時間ではありましたが、輝くばかりの文物を拝見して、歴史と文化の講義を受けているようであり、精神の洗礼を受けたような思いがしました。さらには、人類運命共同体理念の淵源を深く理解するに至りました」。

「実際に、この理念は古代の異なる民族、異なる地域の人びとの間で実践されてきました。その発展過程や道徳的水準について、われわれと古代の人びととを同列に論じることはできませんが、われわれは、より高い境地を目指すべきであります。この展示会を拝見して、人類運命共同体は、われわれが共有すべきより高尚な目標であることを強く感じました。本展示会が日本の皆さまに支持され、シルクロードの歴史と文化をより深く理解していただく一助となることを心より願っております。中日平和友好条約締結45周年、東京富士美術館の創立者である池田大作先生の中日国交正常化提言55周年、東京富士美術館開館40周年という記念すべき年に、本展示会が開催されることに大きな意義を感じます。われわれはこの時を捉え、条約の精神を再確認し、両国首脳が達した重要な合意に基づき、文化交流をはじめとする各分野の実務交流を強化し、新しい時代の要請に応える中日関係の構築を促進すべきであります。『世界遺産 大シルクロード展』が両国人民の友好と相互理解の促進に大きく寄与されることを願っております」。

場内が感動に包まれる中、オープニングセレモニーは佳境を迎え、展示会の大成功を祈念して、呉江浩中国駐日大使、原田稔東京富士美術館名誉館長、青柳正規『世界遺産 大シルクロード展』名誉顧問、譚平中国文物交流センター主任と来賓らによるテープカットが行われた。

本展示会は、日本の外務省、中国人民対外友好協会、中国駐日本大使館、八王子市、八王子市教育委員会が後援、黄山美術社が企画協力、光村印刷株式会社が協賛した。

本展示会は、2014年に「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」が世界文化遺産に登録されてより初となる、シルクロードをテーマにした海外での大型展示会であり、中国文物交流センターが中国の11の省・自治区の27の文化機構・博物館と協力し、シルクロードの歴史と文化を映す200点余りの文物精品を選定した。展示品の種類、規模、内容はこれまでにないものであり、シルクロードを間近に感じることのできる貴重な機会となろう。

本展示会は東京、福岡、宮城、愛媛、岡山、京都の6都市を巡回する予定である。多くの日本の人びとが会場を訪れ、異なる文明間の対話に耳を傾け、交流と学び合いの力を感得する機会となることを願いたい。