翁道逵 ベリーベスト法律事務所(中国弁護士)
日本の暗号資産に関する法制度ガイド その66

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、AML/CFT・反社会的勢力対応の自主規則として、暗号資産交換業に係るマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する規則・ガイドライン、暗号資産交換業に係る反社会的勢力との関係遮断に関する規則・ガイドラインを規定しております。

今回は認定協会の「暗号資産交換業にマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する規則・ガイドライン 」(以下「マネローン規則」という)を紹介します。

 

  • リスク管理

「マネロン規則」第4条によると、会員は、リスク評価に当たり、取り扱う暗号資産や取引形態、国・地域、利用者 の属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証し、自らが直面するマネロン・テロ資金供与リスクを特定しなけばなりません。この包括的かつ具体的な検証に当たっては、暗号資産交換業者が共通で有する特性に加え、自らの営業地域の地理的特性や、事業環境・経営戦略のあり方等、自らの個別具体的な特性を考慮しなければなりません。

また、国・地域について検証を行うに当たっては、金融活動作業部会(Financial Action Task Force on Money Laundering(FATF) や内外の当局等から指摘を受けている 国・地域も含め、包括的に、直接・間接の取引可能性を検証し、リスクを把握しな ければなりません:新たに取り扱う暗号資産や取引形態及び新たな技術を活用して行う取引その他新たな態様による取引を行う場合、当該暗号資産等の利用者への提供前に、当該商品・サービスのリスクの検証、及びその提供に係る提携先、連携先、委託先、買収先等のリスク管理態勢の有効性も含め、マネロン・テロ資金供与リスクを検証しなければなりせん。

さらに、マネロン・テロ資金供与リスクについて、経営陣が、主導性を発揮して関係する 全ての部門の連携・協働を確保した上でリスクの包括的かつ具体的な検証を行わなければなりません。会員自らの事業環境・経営戦略等の複雑性も踏まえて、取り扱う暗号資産及び取引形態、国・地域、利用者の属性等に関し、リスクの把握の鍵となる主要な指標を特定し、当該指標についての定量的な分析を行うことで、自らにとって重要なリスクの高低及びその変化を適時・適切に把握することに努めなければなりません。一定量の疑わしい取引の届出がある場合、単に法令に従い届出等を行うにとどまらず、届出件数及び金額等の比較可能な定量情報を分析し、部門・拠点・届出要因・ 検知シナリオ別等の比較等を行って、自らのリスクの検証の実効性の向上に努力しなければなりません。

 

  • 業務体制

「マネロン規則」第 26条によると、会員は自らの業務の内容、業容に応じてシステム、マニュアル等により、疑わしい取引等の検出・監視・分析する体制を構築しなければなりません。

さらに、「マネロン規則」において、利用者管理、取引時の確認、確認記録及び取引記録、疑わしい取引の管理などの詳細な規定が定められています。

                 (次回へ続く)