<アフターコロナ時代の日中関係>(6)
「アジアの時代」を実感した杭州アジア大会 「一帯一路」国際フォーラムに130か国代表が出席

第19回アジア競技大会が9月23日から10月8日まで浙江省・杭州で華やかに開催された。競技数は40と2021年の東京オリンピックで実施された33競技を超える。アジア競技大会はオリンピックで実施される競技に加え、ソフトテニス(軟式テニス)、囲碁、シャンチー(中国象棋)、カバディ、セパタクロー、クリケット、スカッシュ、eスポーツなどオリンピックにはない競技が行われ、「アジアは一つ」をアピールした。

アジア競技大会のスタートは、第二次世界大戦後まだ間もない1951年。インドのネルー首相の提唱により、日本を含む11か国の参加の下、第1回大会がニューデリーで開催された。戦禍によって引き裂かれたアジア諸国の絆をスポーツを通じて取り戻し、アジアの恒久平和に寄与したいとの願いが込められた。

杭州アジア大会の開幕式には多くの国地域の代表が出席、習近平国家主席と会談した。習主席は韓国の韓悳洙首相との会談で、日中韓3カ国の首脳会談について「適切な時期の開催を歓迎する」と述べた。習主席は「韓国のアジア大会での好成績を祈っている。中国と韓国は引っ越しのできない隣人で、中韓関係の安定は両国民の利益と地域の平和に有益だ」と言明。韓首相も「韓国と中国がハイレベルの往来を維持することが有益で、健全で成熟した関係の発展に努めたい」と応えた。

10月に巨大経済圏構想「一帯一路」国際フォーラムが北京で開かれ、130か国以上の代表が出席した。アルゼンチン、セルビアの大統領のほかロシアのプーチン大統領も駆けつけた。。

杭州アジア大会に日本は開催国・中国以外で最多の1138人(選手・役員)を派遣。多くの競技で活躍した。中国政府は日本の積極的な取り組み姿勢を高く評価しており、今後の日中関係改善につなげたい意向だ。米中両国は11月のAPEC首脳会議(サンフランシスコ)でのバイデン大統領と習主席のトップ会談開催を計画している。日中両国首脳会談開催についても、水面下の交渉が進んでいる。

杭州アジア大会の開幕式では、デジタル花火、グリーンDXをはじめとする華やかな演出が際立ち、多国間平和協力、人類運命共同体が謳われた。世界で6割以上の人口を擁し、GDP成長率で世界を牽引する「アジアの底力」を実感した。

 

 

<評者プロフィール>

1971年時事通信社入社。ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。Record China社長・主筆を経て現在同社相談役・主筆、人民日報海外版日本月刊顧問。日中経済文化促進会会長。東京都日中友好協会特任顧問。著著に「中国危機―巨大化するチャイナリスクに備えよ」など。