加速するグローバル投資戦略

 ホームアセットバイアスとは

「ホームアセットバイアス」は、資産運用業界で使われる用語の一つです。国内の金融資産への過剰な投資を指すことが多いです。投資家が自分の国にある資産(不動産/国内株)に対して、過度に重要視し、手持ちの資金をその国に集中させる傾向を指します。産運用においては、適切なリスク分散を考慮し、国内外の異なる資産クラスや地域に投資することが重要です。このバイアスは、リスク分散を欠いているため、ポートフォリオのリスクを増大させる可能性があります。ホームアセットバイアスを回避し、ポートフォリオを多様化させることで、リスクを分散し、長期的な投資の成功に繋がる。

「図1 (出所) Bloomberg DataよりFinlogix Choko作成」

世界各国株価指数2023年YTD (日経平均+29%)

グロバール投資戦略の重要性は、年々国際的な状況や政策が変化しているためにますます高まっています。特にパンデミック期間中、中国は厳格な封鎖と感染対策を実施し、パンデミックの初期段階2019-2021年で上海/深センCSI300指数(+46%)も上昇し、多くの外国投資家の中国への投資を引き寄せました。そして、2023年東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)の低迷する上場企業に対して改善策を開示・実行するよう要請したことが、企業や投資家に波紋を広げています。アジア地域の資金は日本に流入しました。図1示したように、2023年9月6日(YTD)までの日経225指数(+29%)の収益率を記録し、ChatGPTによるAIブームから伸びたNASDAQ(+44%)に次ぐ高い収益率を達成しました。グロバール投資戦略と視野を持たなければ、これらの収益率を実現することは難しいでしょう。Finlogixは、異なる国々の経済および市場動向に対する洞察力を持つ、リスクを分散し、資産ポートフォリオの安定性を向上させる重要なツールとアドバイスを提供しています。

「図1 (出所) 株マップ.comよりFinlogix Choko作成」

日本株投資するには低PE&PBが有効

2023年の投資環境において、どのような投資戦略が高い収益率をもたらすか?各国の投資スタイル(ファクター)が大きく異なることを考慮することが重要です。米国の株式市場では、高ROE(自己資本利益率)を持つ企業が高い収益率をもたらしやすい傾向があります。一方、中国の市場では、成長段階にある企業が多いため、高い売上成長率と取引流動性(話題性)がある企業が高い収益率を得られやすいです。

それでは、日本の株式市場においてはどのような戦略が有効でしょうか?

図2に示す通り、2023年においては「低PE(株価収益率)」、「低PB(株価純資産倍率)」、「低自己資本比率」、そして「高い配当利回り」を持つ株式に投資することが高いリターンをもたらす可能性があります。これらのファクターに基づいて選ばれた銘柄への投資は、投資家にとって魅力的な選択肢となるでしょう。一方で、「高PB」、「25日&75日の移動平均が株価を上回る」、および「高ボラティリティ」を持つ株式への投資は、収益率があることに留意する必要があります。このように、各国の市場では異なるファクターが重要となり、グローバルな投資戦略を検討する際には慎重な分析が必要です。具体的な銘柄のご相談は、choko.zhang@finlogix.comにお問い合わせいただければ幸いです。

張 益偉 Choko Zhang

上智大学卒業し、金融工学専攻。特許金融分析師(CFA)と金融リスクマネージャー(FRM)の資格を保有しています。卒業後、方正証券の半導体セクターアナリストとして2年間の経験を積み、現在はFinlogixでストラテジストアナリストとして勤務しています。