<アフターコロナ時代の日中関係>(4)
中国人団体客解禁で「爆増」へ 訪日外国人が急回復、半期で1千万人超え

コロナ禍の長いトンネルを抜けたのに伴い、インバウンド需要の回復が鮮明だ。日本政府観光局が発表した6月の訪日外国人客は207万3300人と、新型コロナウイルス感染症の拡大により訪日外国人が大幅に減少した2020年2月以降、初めて200万人を突破した。新型コロナによる水際対策が緩和されてから個人旅行が回復しつつあり、コロナ前の2019年6月比で72%まで戻った。

この結果、2023年上半期(1~6月)の累計は1071万2千人に達し、1000万人を超えた。

日本政府は訪日客数を2020年に4000万人にする目標を掲げ、19年には3188万人に達した。コロナ禍で急減したが、2030年に訪日客数を6000万人に増やす政府目標を維持している。

6月の訪日外国人客を国・地域別に見ると、韓国が54万人と最多。続いて台湾38万人、米国22万人の順。中国は20万人にとどまり、88万人を超えていた19年6月には遠く及ばない。中国政府が日本への団体旅行規制を継続している点がネックとなっていたが、8月に団体旅行が解禁された。中国人にとって日本は人気旅行先であり、日本の観光・旅行業界は中国人訪日客の急回復を期待している。

 

免税店売上が急拡大

日本政府観光局は、今年3月に策定した「新たな観光立国推進基本計画」を踏まえ「観光立国の復活に向けて、観光地・ 観光産業について持続可能な形で『稼ぐ力』を高めるとともに、地方誘客や消費拡大を促進していく必要がある」と指摘。「海外旅行会社等へのセールス強化や情報発信を通じた高付加価値旅行、アドベンチャートラベルの推進、MICE(国際会議・展示会)誘致等の取組を強化していくことが求められる」と呼びかけている。

全日本空輸の国際線便数はコロナ前の7割弱まで回復。感染拡大で閉鎖されていた羽田空港第2ターミナルの国際線施設が約3年ぶりに再開され、本格的な訪日客受け入れ体制が整った。

 日本では全体の消費も堅調で円安効果も追い風に、高級ブランドなどの免税品の売り上げが増加した。「客単価はコロナ前の倍。とにかく高いものが売れる」(大手百貨店)との声も聞かれる。一方、コロナで宿泊客が急減し、多数の従業員を離職させてしまったホテルや旅館は、客足急増で人手確保に苦戦しているところもある。

フランスの高級ブランド「ルイ・ヴィトン」(LVMH)グループは日本での今年上半期の売上高が前年比31%増を記録。ジャン・ジャック・ギオニ最高財務責任者(CFO)は「中国人観光客の海外での消費も回復し始めており、彼らが売上高に貢献する割合は22年の15%から23年には30%に拡大する見通しである。」と意気軒高だ。