ブラインドボックスで決める観光旅行

「あ、出た!綿陽だ!」。4月22日、江蘇省蘇州市に住む呉青青さんは、5月15日出発の無錫発四川省綿陽行エコノミークラス航空券を引き当てた。

2000円弱の航空券をゲット

どうして「引き当てた」ものなのか。自分で買ったものではないのか。なぜなら彼女は、同程旅行のプラットフォームで、98元(約1640円)を支払って航空券ブラインドボックスからこの航空券を当てたからだ。

航空券ブラインドボックスは、最近、SNS上の旅行好きグループの間で人気が高い遊び方だ。たった98元(約1640円)で飛行機に乗ることができる。

いつ出発するのか、どこに行くのかはブラインドボックスの中身を見るまで分からない。ボックスを開けると、フライトの詳細や目的地が判明する。さらに30分以内に辞退すれば、一銭も無駄にすることなく、全額返金されるというシステムになっている。

今年の清明節連休中、2千万人以上のユーザーが、同程旅行のプラットフォームで航空券ブラインドボックスを購入し、一時は、同程アプリのサーバーがアクセス集中のためパンク状態になったほどだった。

また、「五一労働節(メーデー、5月1日)」連休を控え、携程や去哪儿、飛猪などのオンライン旅行会社がいずれも航空券ブラインドボックスを販売し、「思い付いたらすぐ出かける」旅行を実現できるようにしている。

「自己解放」という新鮮さが魅力

同程旅行航空券担当の張氏は、「新型コロナ感染拡大の影響を受けている一部目的地を除き、弊社の航空券ブラインドボックスは、成都-西安、鄭州-青島、広州-長沙など、運賃1000元(約1万6800円)までの国内ほぼ全ての都市を網羅している」と紹介した。

ブラインドボックスであるため、多くのネットユーザーが公開している路線図では、張掖や鄂爾多斯(オルドス)など、自分にとってあまり馴染みのない都市を引き当てたとするケースが多いことが分かった。

北京のメディア関連企業で働く康さん(女性)は、北京―湖南省永州の航空券を引き当てた。彼女が出発日の航空券を調べたところ、北京-永州線は1フライトしかなく、チケット価格は504元(約8470円)のほか空港使用料・税金で554元(約9310円)かかり、ブラインドボックスの価格より約500元(約8400円)も高かった。

ブラインドボックスは、若者の間で良く知られたオモチャではあるが、航空券ブラックボックスは、彼女に意外な喜びをもたらした。目的地が分からない以外に、出発日も3日から30日までのランダムで決まるため、不確定感がさらに高まっている。

「決まり決まったサラリーマンの日常生活を打ち砕く、ある種の刺激が得られ、まるで冒険に出るみたい」と話す呉青青さんは、このようなドキドキワクワクする感覚をとても気に入っているという。

一見「破格の値段」だが特典を見極めるべき

「ブラインドボックス」は一見したところ、破格の値段と言えるが、本当にお得なのかどうかは、消費者がしっかり見極めなければならない。

例えば、携程旅行で、記者は、「五一連休」オフピークのブラインドボックスを999元(約1万6780円)で購入した。チェックイン日とチェックイン地点を選んだところ、ヌオホテル北京(北京諾金酒店)が当たった。もしこのホテルが気に入らない場合は、差額を出してホテルを変更することができる。

携程のプラットフォームによると、ホテルのブラインドボックスを使えば、1162元(約1万9520円)安くなる。しかし、携程でさらに調べると、同日程で同タイプの客室が910元(約1万5290円)で売り出されていた。これは、ブラインドボックスで購入するより89元(約1500円)安い。

ブラインドボックスで引き当てた商品に満足したか否か、結局は損なのか得なのか。消費者は最終的に決定してしまわない限りは、損失を出すことはない。なぜなら規定によると、現状、これらの旅行ブラインドボックス商品は全て、確定してしまわない限り、「返金可能」となっているからだ。