呉江浩中国大使が記者会見
日本の原発処理水放出に対する香港・マカオの反応を重視

7月4日午前10時、呉江浩中国大使が大使館ロビーで中国人記者や外国人記者に会見した。常日頃は優雅で親しみやすく、また礼儀正しい呉江浩大使であるが、当日は憤りを隠せないようだった。呉江浩大使は開口一番、「今年4月末、私は日本の記者と会見し、中国政府は日本の原発処理水の海洋放出に反対していると話したが、その翌日、日本の主要メディアは声を上げず、どのメディアもこれについて報道しなかった。本日の記者会見後には、そのようなことがないことを願っている」と述べた。

呉江浩大使は、中国政府は日本の原発処理水の海洋放出問題について、日本政府と何度も交渉を行い、さらに日本政府に対して二度にわたって文書で質問したことを明らかにした。しかし、日本政府の対応は不誠実で受け入れがたいものだった。これが呉江浩大使の憤りの理由の一つであるに違いない。

記者からの質問に対して呉江浩大使は繰り返し、「日本は近隣諸国やその他の利害関係者と十分な協議をすることなく、一方的に海への放出を決定し、一方的に対外的に宣告し、事実上、海洋放出が唯一の選択肢であるとして相手側に押し付けた」と指摘した。これが大使の憤りの第二の原因だろう。

ある日本メディアの記者が、「中国が日本の原発処理水の海洋排出に反対する科学的データと根拠は何か」と質問した。この質問は火に油を注いだ結果となった。呉江浩大使は苛立ちを隠さず、「科学的なデータと根拠を示すべきなのは日本側であって、質問する側ではない」と答え、さらに手にしたプレスリリースを示しながら、「中国語版と日本語版の両方とも、本日出席している記者にすでに渡されているので、よく見てほしい」と述べた。そこにははっきりとこう書かれていた。「福島の原発事故でメルトダウンした炉心に直接接触した汚染水には、60種類以上の放射性核種が含まれており、その多くには現在、有効な浄化技術が認められていない。長寿命の核種の一部は海流によって拡散し、生物に対して大きな影響をもたらす可能性があり、環境中の放射性核種の総量をさらに増加させるだろう」。これが、大使の憤りの3つ目の理由である。

呉江浩大使は日本の対策の甘さを指摘した。「日本の原発処理水が飲料水になるとは思えない。数日前、海水浴の季節になるから急いで原発処理水を流すなという声が聞かれたが、これも原発処理水が安全でないことを示している。最近、日本で行われた世論調査では、原発処理水の海洋放出に反対という回答が約4割を占めた。日本政府は自国の世論調査さえ尊重しないのか」。

この問題は具体的にどのように解決されるべきなのだろうか。呉江浩大使は単刀直入に「停止すべき」とし、「海洋放出は唯一の選択肢ではないし、最も安全で最適な処理方法でもない」ことを強調した。

日本は日々、「責任ある大国らしく」、そして「国際秩序を守れ」と叫んでいる。しかし、原発処理水の海洋放出の問題では、日本は「責任」と「秩序」を完全に放棄している。呉江浩大使が憤りを示すのも当然だ。

記者会見で、呉江浩大使は温情溢れる態度も見せた。香港メディアの記者が、香港・マカオの社会でも日本からの原発処理水の海洋放出を懸念していると発言すると、大使は即座に、「私も香港マカオ同胞の反応を重視している。中国政府は日本政府との交渉を継続しつつ、日本のやり方や進捗状況に応じて相応の措置を講じていく」と答えた。