日本の暗号資産に関する法制度ガイド その61

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、顧客財産管理・システム安全管理等の自主規則として、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る顧客財産の管理に関する規則・ガイドライン、暗号資産関連デリバティブ取引業に係るシステムリスク管理に関する規則・ガイドライン、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る緊急時対応に関する規則・ガイドライン、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る情報の安全管理に関する規則・ガイドラインなどの4つの規則を規定しております。

今回は認定協会の「暗号資産関連デリバティブ取引業に係る顧客財産の管理に関する規則・ガイドライン」(以下「顧客財産管理規則」という)を紹介します。

 

  • 社内規則の整備

「顧客財産管理規則」第2条及び第3条によると、会員は、暗号資産関連デリバティブ取引に関し、顧客から預託される金銭を、関連法令等に定める内容に従い、自己の財産と分別して管理しなければなりません。また、会員は、分別管理業務に関する社内規則を定めなければなりません。

「顧客財産管理規則」に定める社内規則は、以下の事項を含むものとします。

(1)分別管理業務の執行方法及び手続きの詳細に関する事項

(2)分別管理業務に係る業務記録の作成及び保存に関する事項

(3)分別管理業務の職務分掌に関する事項

(4)分別管理業務の各担当者における事務マニュアルの整備に関する事項

(5)残高の不一致その他不適切な状況発生時の対処方法に関する事項

(6)残高の不一致その他不適切な状況発生時における取締役会その他これに準ずる意思決定機関への報告に関する事項

(7)分別管理業務に関する内部監査及び外部監査に関する事項

 

  • 責任部門の設置

「顧客財産管理規則」第4条及び第 5条によると、会員は、社内規則に定める分別管理業務を担当する 部門(以下「分別管理部門」という。)

を設置しなければなりません。会員は、分別管理業務に携わる役職員の業務適性を確認し、かつ、適切な人員を分別管理部門に配置しなければならず、会員は、分別管理業務が適切に行われるように、当該業務に従事する役職員に対し、関連法令等の内容について教育研修及び業務指導等の実施に努めなければなりません。

また、会員は、分別管理部門において、以下の業務の担当者を設置するものとし、一の役職員に、受払担当者と照合担当者を兼務させてはなりません。さらに、事故・不正行為等防止の観点から、例えば各担当者を定期的に交代させる等の適切な措置をとらなければなりません。

(1)顧客財産預り金の受払いに係る担当者(以下「受払担当者」という。)

(2)預り金の残高と帳簿上の残高を照合し、残高不一致その他不適切な状況発生時にはこれを是正する担当者(以下「照合担当者」という。)

ちなみに、会員は、顧客財産について、具体的な分別管理の執行方法を顧客との契約に明記し、顧客の同意を得なければなりません。

                 (次回へ続く)