景勝地の入場料値下げで旅行を推進

国務院弁公庁が8月23日に発表した「文化と観光消費のポテンシャルの更なる促進に関する意見」は、ポテンシャル促進のための政策・措置9項目を挙げている。つまり国民が旅行するように、中国政府も取り組んでいるということだ。

有給休暇制度の実施

国務院は、雇用企業に対して、有給休暇制度を実施させていくほか、従業員が個人の必要に合わせて、有給休暇を、祝祭日以外の時に臨機応変に取ることができるよう業務を計画するよう求めている。現行の規定によると、勤続年数が1年以上10年未満の従業員の場合、年次有給休暇は5日間、10年以上20年未満の場合10日間、20年以上の場合15日間取得できることになっている。

「意見」は、ナイトタイム文化・観光エコノミーを大々的に発展させるように求めている。例えば、文化・観光関連のスポットのナイトタイムの飲食、ショッピング、イベントなどのサービスを最適化させるほか、24時間営業の書店を設置するよう奨励している。

景勝地の入場料値下げ

中国文化・観光部の党メンバーである王暁峰氏は8月23日、国務院が開催した政策定例記者会見で、「関連部門と共に今後もさらに多くの国有景勝地の入場料値下げを推進する」とした。

実際、2018年には国有景勝地の入場料値下げが大々的に実施された。同年、国有景勝地981ヵ所が、国慶節(建国記念日、10月1日)に合わせて大型連休前に、無料開放、または値下げ(無料開放74ヵ所、値下げ907ヵ所)を発表した。例えば、嵩山少林寺の入場料は100元(約1500円)から80元(約1200円)に、九寨溝の入場料は220元(約3300円)から190元(約2850円)に、峨眉山の入場料は185元(約2800円)から160元(約2400円)に、それぞれ値下げされた。

ローンを利用した旅行の推進

また、合法かつ規定内であることを前提に、文化・観光消費連盟銀行カードを発行し、カードが利用できる事業者に割引や分割払いなどのサービスが利用できるようにすることを奨励している。その他、文化・旅游消費のクレジット業務の展開も奨励している。このようにクレジットカードのローンを利用して旅行に行くと、割引サービスのほか、分割払いのサービスも利用でき、気軽に旅行に行くことができるようになるということだ。

ハイクオリティの景勝地の設置

「時間もお金の余裕もできたが、行く価値のあるハイクオリティの景勝地はとても少ない」と声を上げる人も少なくない。特に、祝祭日やゴールデンウイークになると、景勝地は大混雑となり、観光を思うように楽しむことができない。

そこで、中国政府は、旅行商品を豊富にするよう力を入れ、国家全域観光モデルエリアの建設を推進し、ビジネス・会議旅行、ビーチリゾート観光、自家用車・キャンピングカー旅行、スポーツ旅行、森林観光、療養旅行などの商品の開発に取り組む。そして、ハイクオリティの景勝地、重点ルート、特色ある観光スポットなどを構築したい考えだ。

安心できる観光市場に

旅行に出かけると、旅行先では知り合いもおらず、土地勘もない。万が一、何かのトラブルに巻き込まれた時に対処できないため、安心して旅行に行くのは難しいと感じている人もいる。

この点、文化・観光部の市場管理司の劉克智司長は、「『ブラックリスト』と関連当局による共同処分実施を通して、安心できる市場づくりに取り組んでいる。現在、関連の地域では、深刻な違法行為により信用を失った観光市場の主体や従業員がマニュアルに沿って『ブラックリスト』に入れられ、法律に基づいて、告知や公示されている。そして、それらの情報を各当局が共有し、関連の市場の主体や従業員が、『一度信用を失うと、いろんなシーンで制限を受ける』というメカニズムが作られている」と説明している。