中国・BYD製EVバスと日本で注目の「北海道ボールパークFビレッジ」がコラボ

北海道・札幌。外では時折真っ白な雪が舞い、スタジアム内は緑の絨毯のような芝生が生い茂っている。2023年2月24日、世界でも類を見ない、北海道ボールパークFビレッジで、中国の自動車メーカーBYDのEVバスの納車式が執り行われた。

BYD製のバスが、2015年2月25日に日本に初めてお目見えしてよりおよそ8年、今ではBYD製のEVバスを日本列島の津々浦々で見かけるようになった。

北海道へBYD製バス5台が納入され、中日両国ブランドのコラボが実現した。北海道日本ハムファイターズは、誰もが知る日本プロ野球リーグ所属のプロ野球チームである。日本には多くのスタジアムがあるが、3月に開業する3万人超を収容する新スタジアム——北海道ボールパークFビレッジ内のエスコンフィールド北海道は、プロ野球ファン待望のスタジアムである。

当ビレッジを運営する、株式会社ファイターズスポーツ&エンターテイメントの前沢賢取締役事業統轄本部長が、ある時、何気なく若手社員に尋ねた。「いま、どの国のEVバスが一番だと思う?」と。すると意外なことに、即座に「中国のBYD社だと思います」との答えが返ってきた。

前沢氏が半信半疑でインターネットで検索してみると、ネット上にはBYDへの讃辞が溢れていた。前沢氏はそれでも信じることができず、BYDジャパンの花田晋作取締役副社長に直接電話を入れたのであった。

この時から、東京―札幌間で、3年にわたってやり取りが続いた。その結果は前沢氏が述べている通りだ。「われわれはJR北広島駅―スタジアム間を走るシャトルバスとして、5台のEVバスを購入することにしました。購入に当たって決めていたのは、北海道産か否か、国内産か否かは問わず、品質と価格を重視するということでした。最終的に、中国のBYD 社のバスが一段勝っていました」。こうして、中国ブランド・BYD製EVバスと日本ブランド・北海道ボールパークFビレッジのコラボが実現したのである。

北海道へのBYD製バス5台の納入は、環境保護のコンセプトが一致した結果である。地域交通のグリーン化と脱炭素都市建設は、BYDが掲げる企業理念の一つである。世界で28番目の面積を有する、この美しい島の自然を守ることは、北海道の使命でもある。

正に、この環境保護の理念と価値観の一致が、この度のBYD製EVバスの導入を後押ししたのである。それはまた、対外貿易はもはや物と金銭の交換というだけでなく、「運命共同体」の建設という共通の目的が前提であることを示唆している。如何にお互いの理念や価値観を理解し、目的を共有するのか、貿易の在り方が問われる時代になった。

北海道へのBYD製バス5台の納入は、中日の観光需要再燃の呼び水となるだろう。BYDジャパンの花田晋作取締役副社長は、次のように話す。「日本の観光地にBYD製のEVバスを納入するに当たっては、日本人観光客の目線で考える必要がありました。乗降口のオレンジ色の手すりも、ダークグレーの床も、ダークブルーの座席シートもすべて、日本の『ノンステップバスの標準仕様』に則り、日本人観光客の目線でデザインされています」。北海道バス株式会社の西村晴成代表取締役社長は「現在われわれは、北広島駅―スタジアム間を走るシャトルバスを17台用意していますが、そのうちの5台がBYD製です。観光客やプロ野球ファンの皆さんに中国・BYD社のバスを体験していただき、北海道の新たな観光スポットとして知っていただきたいと願っています」と話した。

株式会社ファイターズスポーツ&エンターテイメントの前沢賢取締役事業統轄本部長は、感慨深げに語った。「私はこれまで、海外旅行に多く出掛けてきましたが、海外でメイド・イン・ジャパン製品を目にする度にワクワクし、誇りも感じました。そうした体験によって、また行ってみたいという気持ちがより高まることがあると思います。この度、われわれは中国のBYD製のバスを5台購入しましたが、中国人観光客が北海道を訪れ、祖国のブランドバスを目にして誇りを感じ、北海道への観光客が増えることを願っています」。

孫子の兵法には「物事の表層から深層を見、過去の経験から未来を予見する。」とある。北海道、そして中国のBYD製バスに、大いに讃辞を贈るものである!