日本の暗号資産に関する法制度ガイド その57

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、金融商品取引法の業務取扱関係の自主規則として、 暗号資産関連デリバティブ取引業に関する業務規程、デリバティブ関連取扱暗号資産に関する規則・ガイドライン、暗号資産関連デリバティブ取引に関する規則・ガイドライン、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る顧客の管理及び説明に関する規則・ガイドライン、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る不公正取引等の防止に関する規則・ガイドライン、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る暗号資産関係情報の管理体制の整備に関する規則・ガイドラインなどの7つの規則を規定しております。

 今回は認定協会の「 暗号資産関連デリバティブ取引業に係る顧客の管理及び説明に関する規則・ガイドライン」(以下「デリバティブ取引業顧客管理規則」という)を紹介します。

 

  • 取引開始基準

 「デリバティブ取引業顧客管理規則」第2条によると、会員は、顧客との間で暗号資産関連デリバティブ取引を開始するための基準を定め、当該基準に照らして顧客との取引の開始の可否を判断しなければなりません。

(1)取引開始基準は、顧客の投資経験、顧客からの預り資産その他会員において必要と認める事項について定めなければなりません。

(2)会員は、特段の事情がない限り、未成年者を対象として暗号資産関連デリバティブ取引を行ってはなりません。

(3)会員は、取引を判断する能力に欠けると認められる顧客との間で、暗号資産関連デリバティブ取引を行ってはなりませんが、成年後見人など当該顧客の行為を代理する者の指示等に従い取引を行う場合を除きます。

(4)会員は、高齢者との間で暗号資産関連デリバティブ取引を行う場合には、当該高齢者の取引に対する理解及び知識、判断力その他取引を適切に行うために確認を要する事項を確認の上、高齢者の能力に応じた取引を提供しなければなりません。

 

  • 説明事項

  「デリバティブ取引業顧客管理規則」第 19条によると、会員は、顧客との間で暗号資産関連デリバティブ取引を開始するにあたって、当該暗号資産の性質に関し、以下の事項を、あらかじめ顧客に説明しなければなりません。

(1) 暗号資産は、本邦通貨又は外国通貨ではないこと

(2) 暗号資産の価値の変動を直接の原因として損失が生じるおそれがあるときは、その旨及びその理由

(3) 暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができること

(4) 取り扱う暗号資産が、特定の者によりその価値が保証されていない場合は、その旨又は特定の者によりその価値が保証されている場合は、当該者の氏名、商号若しくは名称及び当該保証の内容

(5) 取り扱う暗号資産の概要及び特性

(6) 前各号以外に暗号資産の性質に関し顧客の注意を喚起すべき事項

 

また、会員は、その営業所または事務所において前項に規定する説明を顧客に対して行う場合は、上記各号に掲げる事項を当該顧客の目につきやすいよう窓口に掲示して行わなければなりません。

次回へ続く