~私がコメンテーターを務めた①健康・医療分科会の発表内容~
『デジタル時代の東北のHUB・仙台』シンポジウム(その2)
~「日本のデジタル社会へ向けての課題と展望」その23~

 前回お伝えした(一社)デジタル田園都市国家構想応援団と仙台市共催の『デジタル時代の東北のHUB・仙台』イベントの様子を続いてお伝えします。

 講演会の後は、6つの分科会、すなわち、①健康・医療、②教育・就労、③交通、④データ基盤、⑤環境・レジリエンス、⑥産業・にぎわい、が開催されました。私が、コメンテーターを務めたのは、①健康・医療と④データ基盤ですが、今回は、①健康・医療の発表内容についてお伝えします。

 そこで、私は、以下のようなコメントを述べさせて頂きました。

 デジタル技術を駆使した『健康・医療』サービスは、高齢化に伴う日本の最大の社会課題の解決に向けての先進的な取組が実際に始まっていることがよく分かりました。

 仙台市の老人施設におけるeスポーツの取組は画期的で、孫とのコミュニケーションが始まり、また、老化防止に大きく役立っています。

 ファーストドクターのサービスは、正に過疎地で医療機関のないところや、専門医が不足しているところでの法改正により、リモート診断とその後の治療を日本全国での展開が期待されます。

 NTTドコモのスマートフォンを活用したさりげない、デジタルヘルスサービスが、健康寿命を延ばし、医療費の抑制に効果を発揮することが期待されます。

 NECのAIxデータによる予防健康サービスをこれを導入した自治体で、特に生活習慣病分野で、効果が上がりつつあり、さらに同サービスを利用する自治体が増えることが期待されます。

 NTT東日本のeスポーツによる高齢化社会への対応策は、既に仙台市でも成果をあげつつあり、特にフレイル(加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が徐々に衰え、心身のストレスに脆弱ぜいじゃくになった状態のこと)予防には大きな効果があがっています。さらなる展開を期待したいと思います。

 デジタル田園都市国家構想は、岸田政権の新しい資本主義の中核をなす成長戦略の目玉政策ですが、日本の二大社会課題である「デジタル化の遅れ」と「首都圏一極集中」を解消すべく、色んなアイデアをぶつけ合うことができました。

今回は、分科会として医療費の抑制のために、如何にして健康寿命を延ばすか、また、全国津々浦々への遠隔医療の実際についての情報交換ができました。

次回は、私がコメンテーターを務めたもう1つの『データ基盤』分科会の様子をお伝えします。(つづく)

プロフィール

1954年、福岡県生まれ。京都大学理学部(宇宙物理学科専攻)卒。日本アイ・ビー・エム株式会社、日立エンジニアリング株式会社、株式会社アスキー等を経て、株式会社インターネット総合研究所等を設立し、現職。96年、東京大学より工学博士号を取得。現在、SBI大学院大学学長、東京大学大学院数理科学研究科連携客員教授。