新型コロナ対策が乙類管理に戻った理由とは

国家衛生健康委員会は12月26日に公告を発表し、2023年1月8日より新型コロナウイルス感染症を「乙類甲管」から「乙類乙管」に調整するとした。これは中国が2020年1月20日より厳格な感染症甲類対策措置を開始してからの感染対策の新たな重要な調整となった。

国務院共同感染対策メカニズム招待権威専門家で国家衛生健康委員会新型コロナウイルス感染症対応処置活動指導グループ専門家チーム長の梁万年氏がいち早く人々の関心事に答えた。

 

「乙類乙管」に調整した

主な根拠は何か

質問:新型コロナウイルス感染症を「乙類甲管」から「乙類乙管」に調整した主な根拠は何か。

回答:中国の法定感染症は現在40種あり、うち甲類は2種、乙類は27種、丙類は11種。甲類にはペストとコレラが含まれる。乙類には新型コロナウイルス肺炎、SARS、エイズなどが含まれる。

新型感染症が発生した時に、その病理学及び疫学的特徴の認識が不足し、その感染力、病原性、病原の変異の特徴が不明瞭だったのが原因で、人々の命の安全と健康を最大限に守るために、中国は2003年のSARS、2005年のヒト感染鳥インフルエンザ、2009年のインフルエンザウイルスA型(N1N1)などの新型感染症の対応で、いち早くこれらを乙類感染症としながら甲類感染症管理措置を講じるという効果的な経験・手法をまとめた。

しかし、感染症及び病原体の流行法則の研究と認識の持続的な深化、臨床治療の手段やワクチン・薬品の研究開発・応用及び効果的な対策措置の蓄積に伴い、かつて「乙類甲管」を採用したSARSや鳥インフルエンザを乙類感染症管理措置に戻した。一方で、インフルエンザウイルスA型(N1N1)はインフルエンザ扱いとし、丙類感染症に基づきモニタリング・管理を行った。

 

中国は完全にコロナ前の

状態に戻れるのか

質問:当面、ウイルス変異にはまだ多くの不確実性が存在する。政策が調整された後は、中国が完全にコロナ前の状態に戻ったことを意味するのか。

回答:「乙類甲管」の「乙類乙管」への調整は、オミクロン株の感染力と病原性の特徴、感染後の重症、死亡などの状況、及び国際的な感染状況の変化に基づく決定で、感染対策の新たな状況と新型コロナウイルス変異株の新たな特徴により良く適応し、対策資源を効果的に利用し、感染対策と経済・社会の発展をより良く同時進行させ、感染症の経済・社会発展への影響を最小限に抑えるのが狙いだ。

世界では現在も新型コロナウイルスの流行が続いている。中国国内の感染状況は全体的に急増の段階にあり、人々の流動性、人口密度、人々の免疫水準などの差により、各地の感染拡大のピークには時間差が生じる。

今後一定期間にわたり、各地は感染流行の圧力に次々と直面する。一方では、政府当局や衛生健康システムなどは法律の規定と職責の要求に基づき、関連する対策及び治療活動に持続的に取り組み、あらゆる手段を講じ重症者と死亡者を減らし、国民の健康を守る。

他方では、人々はとりわけ個人の防護を徹底し、関連する対策措置に引き続き協力し、流動と密集を減らし、短期間内の流行のピークによる医療資源への打撃を弱める必要がある。

 

「乙類乙管」に調整できる

基本的な条件が備わったか

質問:すでに「乙類乙管」に調整できる基本的な条件が備わったと言えるのはなぜか。

回答:新型コロナウイルス感染症の「乙類甲管」から「乙類乙管」への調整は、専門家の知恵を集め中国内外の経験を参考にし、各方面の要素を総合的に考慮した上での決定だ。

人類の新型コロナウイルスと疾患への認識のさらなる深まり、疾患の危険性の低下、効果的なワクチンと薬品の供給、緊急処置能力の向上などが、今回の調整の条件を整え、この3年間近くの感染症との戦いも、調整の確かな基礎を固めたと言うべきだ。

(1)オミクロン株は病原性が明らかに低下している。中国内外のモニタリングデータによると、その病原性と毒性が従来株やその他の変異株より大幅に低下している。

(2)新型コロナウイルスワクチンの接種が普及した。現在まで中国全土から報告されている接種回数は34億回以上にのぼっている。接種を受けた人の数と全過程の接種を完了した人の数はそれぞれ中国の総人口の92%以上、90%以上を占めている。

(3)医療救急治療能力が向上した。医療機関の機能分化・救急治療体制の整備、末端医療衛生機関の能力強化、発熱外来の増設、指定病院の重症者病床、ICU及び関連救急治療設備・物資の増加を通じ、新型コロナウイルス感染者の救急治療と日常医療サービス保障を同時に実現した。

(4)中国には中医薬や西洋医薬を含む新型コロナウイルス治療薬の生産・供給能力がある。

(5)人々の健康意識と健康素養がさらに向上し、自己防護能力が徐々に向上した。「新型コロナウイルス感染者自宅療養ガイドライン」の発表、自宅療養常用薬の普及に伴い、無症状感染者と軽症者は医療従事者の指導の下、自宅で健康モニタリングと対症処置を行えるようになった。