『デジタル時代の東北のHUB・仙台』シンポジウム(その1)
~「日本のデジタル社会へ向けての課題と展望」その22~

 私が代表理事を務める一般社団法人デジタル田園都市国家構想応援団イベントを仙台市との共催で開催しました。第1部として、私と郡和子仙台市長と内閣府デジ田実現会議の事務局長が挨拶、その後、私から講演『地域DXを担う人物像とは』と、東北大学から『東北大学が駆動する研究開発DX』という講演を行いました。

以下に私の講演概要を示します。

概要としては、岸田政権の経済政策の中心となるのが新しい資本主義であり、その成長戦略を担うのがデジタル田園都市国家構想です。本構想の基本的な考え方は、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指しており、デジタルは地方の社会課題を解決するための鍵であり、新しい価値を生み出す源泉。今こそデジタル田園都市国家構想の旗を掲げ、デジタルインフラを急速に整備し、官民双方で地方におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に推進するとしています。

同構想は「新しい資本主義」の重要な柱の一つで、地方の社会課題を成長のエンジンへと転換し、持続可能な経済社会の実現や新たな成長を目指しています。その実現により、地方における仕事や暮らしの向上に資する新たなサービスの創出、持続可能性の向上、Well-beingの増大等を通じて、デジタル化の恩恵を国民や事業者が享受できる社会、いわば「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指しています。これにより、東京圏への一極集中の是正を図り、地方から全国へとボトムアップの成長を推進するとしています。

政府は、基本方針を通じて、構想が目指すべき中長期的な方向性を提示し、地方の取組を支援し、特に、データ連携基盤の構築など国が主導して進める環境整備に積極的に取り組み、地方は、自らが目指す社会の姿を描き、自主的・主体的に構想の実現に向けた取組を推進するとしています。

デジ田応援団としては、同構想を実現するには、地域DX人材が必要であると主張しています。そこで、DX人材を再定義することとし、8つの人材定義を行いました。具体的には、①ビジネスプロデューサー、②ビジネスデザイナー、③データサイエンティスト/AIエンジニア、④UXデザイナー、⑤アーキテクト、⑥エンジニア/プログラマ、⑦先端技術エンジニア、⑧サイバーPRマーケター。そしてこれらの8つの人材を束ねる地域(ⅰ)DXプロデューサーを定義し、(ⅱ)周辺を巻き込む力、(ⅲ)課題設定力、好奇心・主体性の、3つの人間力が必要であると述べました。(つづく)

プロフィール

1954年、福岡県生まれ。京都大学理学部(宇宙物理学科専攻)卒。日本アイ・ビー・エム株式会社、日立エンジニアリング株式会社、株式会社アスキー等を経て、株式会社インターネット総合研究所等を設立し、現職。96年、東京大学より工学博士号を取得。現在、SBI大学院大学学長、東京大学大学院数理科学研究科連携客員教授。