日本の暗号資産に関する法制度ガイド その55

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、金融商品取引法の業務取扱関係の自主規則として、 暗号資産関連デリバティブ取引業に関する業務規程 、 デリバティブ関連取扱暗号資産に関する規則・ガイドライン 、 暗号資産関連デリバティブ取引に関する規則・ガイドライン 、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る顧客の管理及び説明に関する規則・ガイドライン 、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る受注管理体制の整備に関する規則・ガイドライン 、暗号資産関連デリバティブ取引業に係る不公正取引等の防止に関する規則・ガイドライン 、 暗号資産関連デリバティブ取引業に係る暗号資産関係情報の管理体制の整備に関する規則・ガイドライン などの7つの規則を規定しております。

 今回は認定協会の「 デリバティブ関連取扱暗号資産に関する規則・ガイドライン」(以下「デリバティブ取扱規則」という)を紹介します。

  • 取扱審査の体制

 「デリバティブ取扱規則」第2条によると、会員は、デリバティブ関連取扱暗号資産の審査に関する社内規則を定めなければなりません。会員は、当該社内規則の策定にあたっては、次の各号に掲げる事項(以下「必要審査項目」という。)を審査項目に含めなければなりません。

 イ 発行状況に関する事項

 ロ 取引状況に関する事項

 ハ 利用状況に関する事項

 ニ 暗号資産の関係者に関する事項

 ホ 暗号資産及び記録台帳の技術に関する事項

 ヘ 対象プロジェクトに関する事項

 また、会員は、当該暗号資産をデリバティブ関連取扱暗号資産として取り扱った場合に直面し得るリスク(以下「取扱リスク」という。)を包括的かつ具体的に検証の上、 その取扱リスクを特定しなければなりません。

 会員は、当該特定した取扱リスクを、必要審査項目に基づいて適切に評価の上、当該暗号資産のデリバティブ関連取扱暗号資産としての取扱いの適否を審査しなければならず、会員は、「デリバティブ取扱規則」の施行時点でデリバティブ関連取扱暗号資産としての取扱いを開始している暗号資産についても、取扱いの適否を審査するよう努めなければなりません。当該審査の結果、取扱いが不適切と判断される場合には、顧客の利益保護に十分配慮しつつ、関係規定に従い、取扱いを廃止しなければなりません。

 

  • 取扱廃止時の対応

 「デリバティブ取引業規則」第 10条によると、会員は、特定のデリバティブ関連取扱暗号資産を対象とする暗号資産関連デリバティブ取引の取扱いを廃止する場合には、取扱中止日の 30 日前までに、金融商品取引法第 50 条の 2 第 6 項 に基づく廃業公告の実施とともに、自社のウェブサイトその他顧客が容易に閲覧可能な伝達手段を用いて、顧客に対して周知しなければなりません。当該周知を行う場合、会員は、次の各号の情報を顧客に提供しなければなりません。

(1) 取扱いを廃止する暗号資産関連デリバティブ取引に係るデリバティブ関連取扱暗号資産の名称

(2) 取扱廃止日時

(3) 取扱を廃止する理由

次回へ続く