東京・浅草で最近、日本の茶道を体験していた王さんは取材に対して、「今回は伊豆や熱海、富士山などに行って、風景や風土に触れ、現地の人々との交流を楽しんだ。でも、ショッピングにはそれほどお金を使っていない。今、中国国内の商品もバラエティに富み、ネットショッピングもとても便利になった。わざわざ日本で買って帰る必要はない」と語った。
浴衣姿の外国人観光客
このように、ショッピングではなく、体験にお金をかけている中国人観光客に、取材中たくさん遭遇した。彼らの話から、中国人観光客の日本における消費スタイルは大きく変化していることをはっきりと感じることができる。
日本政府観光局が最近発表した統計によると、2017年上半期(1~6月)の訪日外国人数は前年同期比17.4%増の1375万7300人だった。第一四半期(1~3月)の中国人観光客の消費総額は3718億円と、他の国や地域を抑えてトップだった。ただ、前年同期比では、消費総額と一人当たりの消費額がそれぞれ4.7%減と14.9%減だった。うち、一人当たりの消費額は約22万5000円にまで落ちている。
日本では、中国人観光客が大量に商品を購買することが「爆買い」と称され、15年にはユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に選出され、社会現象にもなった。現在、中国人観光客の日本における購買力は少しずつ下がっており、「爆買い」は少なくなっている。
東京・新宿のある大型電器店で中国人客向けの接客をしている王さんは取材に対して、「一昨年、中国人観光客に超人気となった温水洗浄便座や炊飯器の人気は既に下火になっている。昨年、最も人気となったのは、ドライヤーやシェーバーなどの小型家電のほか、マスク、のど飴など。しかし、今年はこれらの商品を買う中国人観光客は昨年より明らかに減った」と爆買いの熱が冷めていることを話した。
ただ、だからと言って中国人観光客がお金を全く落とさなくなったわけではなく、「体験」にお金をかけるスタイルにシフトする人が増えている。
日本で旅行社を経営している孟凡海さんは、「ツアー旅行より、最近は個人旅行で異国文化を体験する中国人観光客が増えている」と分析し、「以前は中国人観光客はドラックストアで買い物をするのを好んだ。一度に1万元(約16万7000円)以上使うツアー客も多かった。一方、今は、免税店などの滞在時間を適度に減らし、きれいな景色を見たり、グルメを楽しんだり、公演を鑑賞したりする若者が増えている。事前にインターネットで調べてよく計画を練り、日本に来て着物の試着や美容サロンに行ったり、お寿司や和牛などを食べたりする観光客も多い。今年4月は、花見に来た中国人観光客が例年に比べて大幅に増え、当社もいろんな体験ができる商品を打ち出した」と紹介した。
中国人観光客の一連の消費データは、日本の経済界を熱狂させた。そして、今は「爆買い」の減少が日本社会の注目を集めている。
作家・中島恵は、著書「『爆買い』後、彼らはどこに 向かうのか。―中国人のホンネ、日本人のとまどい」の中で、多くの日本人は中国人観光客に対して、「民度が低い」というイメージを根強く持っていると分析している。しかし、英語を流暢に話し、優雅な服装で、相手の気持ちを考えることができる中国人観光客が増えている。中国人観光客の消費動向はいろんな面で変化している。例えば、ショッピングから体験に、大都市から地方都市へ、ツアー旅行から個人旅行へと変化している。このような変化は、日本の商業界が予測していなかったスピードで進んでいる。日本人は今、この「新人類」に視線を注いでいる。
着物で記念写真
「中国人観光客の財布を開く80の方法」という本は、「爆買い」が日本にお金儲けのチャンスをもたらしたと指摘。爆買い時代が終わった今、中国人観光客を呼び込むために、値段相応のおもてなしと体験を提供しなければならないとしている。
東京・浅草の日本文化体験教室で講師を務めている高橋奈々恵さんは、「今年、浴衣や茶道、人力車などを体験する中国人観光客が増えており、例年に比べて3割以上増えた。そのため、これまでは英語で授業をずっとしていたものの、今は中国語を勉強し始めた。こんなにたくさんの中国人観光客が日本に来てくれてとてもうれしい。中国人観光客の多くは日本の文化にとても興味がある。これらの体験を通して、中国人観光客は日本の文化に触れ、日本人も中国人観光客と直接交流することで中国人や中国の文化を理解することができる。旅行は物を買うだけでなく、現地でしか味わえないことを体験することの方が重要」と語る。
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