日本を風靡する千年の美酒〜紹興酒で祝う浙江・静岡友好提携40周年〜

2022年は中華人民共和国の成立73周年、中日国交正常化50周年、そして浙江省と静岡県の友好提携40周年にあたる。

新中国の成立以来、紹興酒はずっと外交の重責を担ってきた。ジュネーブ会議、中米国交樹立、北京オリンピック、上海万博、G20杭州サミットといった重要なイベントで振舞われ、また日本の天皇陛下やカンボジア国王への進物として、友情をつなぐ紐帯、理解を深める架け橋、関係をよくする潤滑油という役割を担ってきたのである。

紹興酒には悠久の歴史があり、フランスのワイン、日本の清酒とならぶ「世界三大美酒」の一つとして、その美名は遠く鳴り響いている。時代の歯車は止まることなく進み、かつての煌めきは必ずやまた繰り返される。「越の酒が天下を再び駆けめぐる」歴史的な一歩を踏み出す足がかりとなるのが日本である。

10月11日、紹興酒の二大ブランド——古越龍山と塔牌は、静岡県にあるホテルグランヒルズ静岡にて紹興酒の魅力を紹介する「美食の祭典 紹興酒とふじのくに食の都のハーモニー」を開催した。古来、静岡県は日本の東西を結ぶ交通の要衝であり、至る所から旅人が訪れた。かの有名な歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」は、江戸から京都に至る53の宿場の風景を描いたものであるが、実にそのうちの22が静岡県に存在する。人々の往来をずっと見守ってきた静岡の人々は、いまも人情に厚く律儀である。静岡県が掲げる「富国有徳」の「富」は富士山の「富」であり、豊かなひと・もの・こころを備えた「ふじのくに」づくりが進められている。

かたや紹興は、もはや町そのものが歴史博物館である。中国の五千年にも及ぶ輝かしい文明の跡を、紹興の至る所に見ることができる。たとえば、治水事業の遅れを案じ、「三たび家門を過ぎて入らず」で有名な伝説上の聖王である禹は、世を去ったあと、紹興にある会稽山に葬られた。おもしろいことに、禹にまつわる遺跡は日本全国にも165箇所ある。そして紹興酒は、その千年の古都に「中国が誇る黄酒(穀物醸造酒)の都、世界に誇る美酒の産地」というさらなる名誉を加えられた。

静岡県の富士山と浙江省の西湖を、静岡県知事の川勝平太氏はひと組の恋人になぞらえ、中国国家主席の習近平氏は「ロミオとジュリエットのようだ」と喩えた。10月11日、静岡県と浙江省はまたやはり恋人のように手を取り心を通わせ、紹興酒と静岡のグルメという素晴らしいハーモニーを味わうべく品評会を開いた。会には両国の政財界や学界から百名を超える人々が参加した。

浙江古越龍山紹興酒股份有限公司総経理の徐東良氏はビデオメッセージで、40年にわたる両都市の友好的な交流によって築かれた成果を回顧したあと、古越龍山は「アジアトップブランド500」に唯一ランク入りした黄酒ブランドであること、「越の酒が天下を再び駆けめぐる」ことに自信を抱いていること、今後は日本市場の開拓にいっそう注力し、より多くの人々に紹興酒とその文化に触れる機会を提供することなどを述べた。

2020年12月、古越龍山は紹興酒の国際化を進めるため、最初の海外事務所を東京に設立した。中国の地域性や銘酒の文化について、物語を通じて熱意たっぷりに紹介してくれた東京事務所の所長夏良根氏は、この二年ほどのあいだ、日本各地で精力的に紹興酒のPRイベントを開催すると同時に、紹興酒ソムリエ資格認定制度の設立に尽力している。そういった夏氏の活動は東京新聞など日本の主要メディアで相次いで取り上げられ、日本における「紹興酒ルネサンス」として紹介された。

かつて「相知に遠近無く、万里なお隣たり」と詠まれたが、浙江塔牌紹興酒有限公司総経理の魏健氏は、深い友情とは黄酒のように長く続くものとイベント参加者に教えるかのように、中国からわざわざ駆けつけてスピーチした。「塔牌の紹興酒は新中国から輸出された最初の伝統的な商品であり、これまで最大の輸出量を誇る紹興酒ブランドです。醸造の工程はすべて伝統的な節気を守った厳格な古法にのっとっています。そしてその絶妙な品質は国内外の多くの消費者から賞賛され、中国黄酒の代表的なブランドであると消費者から認識されています」。

魏健氏は本誌の取材を通して、塔牌を支持する日本各界の友人らに心からの敬意と感謝を述べると同時に、このたびの紹興酒イベントのための来日は、ここ3年間で浙江省が特別に承認した初めての海外への代表団であることを明かしてくれた。これは紹興酒の海外進出に対する浙江省の後押しであり、またそれによる相互発展が見込めるという自信の表れでもある。

浙江省の商務庁庁長である韓傑氏もビデオ形式で挨拶し、古越龍山と塔牌の日本へのプロモーションに対して支持を表明した。「浙江省の紹興酒と静岡県の富士のグルメがともに評価を受け、両地の協力がさらなる段階へと進むことを願っています」

浙江出身で日本在住の著名な二胡奏者劉揚氏の奏でる旋律を背景に、ソムリエ石川千寿子氏による説明を受けながら、会の参加者は浙江料理の作り方と静岡の特産を掛け合わせた酒肴を堪能した。ホテルグランヒルズ静岡の中国料理「富翠珠」の津村豪料理長が腕を振るったその八品に合わせられたのは、塔牌の陳十年「福」(フータオ)、「陳十五年」、純十年花彫瑠璃彩磁の三種と、古越龍山のカラメルフリー紹興酒「純龍」、「景徳鎮十年」日中国交正常化50周年特別ボトル、陳二十年「国醸青玉」の三種である。とりわけ「国醸青玉」は、かの天才画家王希孟の名画「千里江山図」の境地を体現した人気舞踊詩劇「只此青緑」からヒントを得て、古越龍山によって特別に製造された最高級品である。

このイベントには、浙江省商務庁駐日首席代表の孟浩氏、日本浙江総商会会長の林立氏、日本中国料理協会事務局長の関根高志氏らも東京から駆けつけ、静岡県地域外交担当部長の山本東氏、静岡商工会議所会長の酒井公夫氏らのほか、静岡県商工会連合会、静岡県ニュービジネス協議会、静岡県酒造組合、静岡県日中友好協会、静岡大学といった団体や、スズキ自動車など名の知られた企業も代表を派遣し、まさに当日は多士済々といった様相を呈した。かつて王羲之が謝安ら42人の名士らとともに蘭亭で開いた曲水の宴もかくやという楽しげな雰囲気のなか、琥珀を湛えた杯が盛んに交わされた。

国の交わりは民の相親しむに在り、民の相親しむは心の相通ずるに在り——10月11日、紹興酒はまたしても友好基礎を固めるというその外交使命を立派に果たした。紹興酒によって吹き鳴らされた復興の音は、いつまでもわれわれの心のなかに響き続けるであろう。(撮影:呂鵬)