~「日本のデジタル社会へ向けての課題と展望」その20~
『動き出した大阪・関西万博2025』
デジタル田園都市国家構想応援団イベント

一般社団法人デジタル田園都市国家構想応援団の第2回イベントは、2022年5月に開催され、3年後に迫った大阪・関西万博へ向けての会合となりました。世界の注目を集める万博は、新たな技術やシステムを実証する「未来社会の実験場」をコンセプトに掲げており、さまざまビジネスを創出できる絶好の機会として期待されています。

 今回のセミナーでは、冒頭に私から『デジタル田園都市国家構想と地域メタバースの可能性』というタイトルでお話させて頂きました。本会合を通じて、以下に示すようにデジタル技術の活用により課題解決を図ると共に、それぞれの地域の資源や魅力を活かして活性化し、持続可能な経済社会を目指す「デジタル田園都市国家構想」の取り組みや事例が紹介されました。

 地域メタバースで可視化・発信するイノベーションでいのち輝く未来社会を実現しようということで、万博協会からは、大阪・関西万博の全貌が明らかにされました。

具体的には、①スマートモビリティ万博(会場内地上・空飛ぶクルマ・先端ロボット)、②デジタル万博(来場者体験と万博運営のトランスフォーメーション)、③バーチャル万博(リアル会場とサイバー会場)、④アート万博(いのちを救う・いのちに力を与える・いのちをつなぐ)、⑤グリーン万博(エネルギー)、⑥フューチャーライフ万博(未来のライフスタイル・未来の都市)についての展示が実施されることとなりました。

 また、大阪府からその取組が紹介されました。スマートシティ戦略として公民連携戦略を重視しており、公民戦略連携デスクを設置し、ワンストップ窓口で、企業・大学等との公民連携のマッチング・コディネートを始動させました。この大阪府の活動のユニークな点は、「公民連携の鍵」=「情報資産」として、オール大阪で社会課題解決に当たっていると共に、新たに、関西電力、住友商事、近畿大学などがOZCaF(OSAKAゼロカーボンファウンデーション)を立ち上げたことです。さらにOSPF(大阪スマートシティパートナーズフォーラム)も立ち上げました。

最後のパネルディスカッションでは、『次世代が地域メタバースでつくるデジタル田園都市ワークショップ』として、デジタル田園都市x万博x地域メタバースxWell-being x SDGsをテーマとして私がモデレータとなり、ANA NEO(株)COO、クラスター(株)代表取締役CEO、(株)Creator’s NEXT CEO&Founder、(株)Liquitous代表取締役CEO、大日本印刷(株)事業企画室長、(株)新産業文化創出研究所 所長とで熱い議論を行いました。

 私が高校生の頃の日本の高度成長期の1970年の大阪万博と比較して、時代は変わりましたが、目標来場者数の2820万人は十分到達可能であり、この大阪地域の盛り上がりからすると、日本を元気にするイベントになることは、間違いないと思いました。

 

プロフィール

1954年、福岡県生まれ。京都大学理学部(宇宙物理学科専攻)卒。日本アイ・ビー・エム株式会社、日立エンジニアリング株式会社、株式会社アスキー等を経て、株式会社インターネット総合研究所等を設立し、現職。96年、東京大学より工学博士号を取得。現在、SBI大学院大学学長、東京大学大学院数理科学研究科連携客員教授。