結婚・出産観念の変化が注目の的に
予想より強い中国の大学生の結婚願望

中国の社会が現在、急速にモデル転換する段階に突入するにつれて、若者の結婚や恋愛をめぐる行為、それらに対する考え方も変化しており、注目を集めている。そして、若者の中でも重要な位置を占める大学生の結婚・出産に対する姿勢も、社会の注目の的となっている。

予想より強い

大学生の結婚願望

「中国青年報」がこのほど発表した中国各地の大学生を対象とした調査結果によると、回答者の57.90%が「26-30歳」で結婚したいと答えたのに対して、25.97%は「最低法定年齢以上であれば、何歳でもいい」と答えた。

また、結婚を決断する主な要素については、95.32%が「本当に愛し合っているか」、85.97%が「経済的見通し」と答えた。

中国人民大学人口・発展研究センターが今年4月に公式サイトで発表した「中国の大学生の結婚・出産観報告」によると、大学生の61%が「結婚したい」と明確に答えた。

回答者の理想の結婚年齢は平均27.82歳で、男女の差はほとんどなかった。報告は22省26都市の大学30校で実施したサンプリング調査を基にしており、9775人から有効回答を得た。女性は50.95%で、平均年齢は20.29歳だった。

中国人民大学人口・発展研究センターの李婷教授は、「全体的に見て、大学生の結婚願望は予想より強かった。結婚願望を強める要素を見ると、大学生は結婚することによって得られる精神的サポートを重視している。また、物質的サポートを得ることも望んでいる。一方、結婚願望を弱める要素を見ると、結婚・出産費用や仕事と家庭のバランスなどが、大学生の結婚願望に特に影響を与えている」と報告を分析する。

長年ポジティブ心理学を研究している武漢大学哲学学院心理学科の喻豊教授は、「今の大学生は結婚・恋愛について考える際、本当に愛し合っているかを重視しているほか、経済的見通しにも注目している」とし、「大学生のこのような結婚・恋愛観は、理想化された憧れでありながら、現実的な状況にも基づいており、その二者の間で明らかな葛藤がある。そのような葛藤は、インターネットや映画・ドラマ、メディア、間接経験の影響を受けている」との見方を示す。

 

「出産は理想の

人生の一部分」

全体的に見ると、ほとんどの大学生は依然として「出産」を理想の人生の一部分と見なしている。

中国人民大学の「中国大学生結婚・出産観報告」によると、大学生の考える理想の子供の数は平均1.86人で、80%が「2人」を理想としているほか、大学生は依然として結婚は子供を産むための必要条件だと見なしている。

出産の意義について、大学生は、子供を育てることの自分にとっての意義や感情的価値を気にかけており、以前は多かった老後の生活のためとの回答は最も少なかった。

「中国青年報」の調査でも、回答した大学生の37.58%が「子供が1人ほしい」と答え、34.03%が「2人ほしい」と回答した。その他、74.03%が「子供は愛の結晶」、67.74%が「子供は家庭で不可欠な部分」と答えた。

李教授は、「大学生の認識において、結婚と出産は依然として緊密に紐づけされており、結婚・出産観についてはモデル転換と呼べるような変革は起きていない。大学生にとって、出産はまだ遠い先のことで、その考え方は将来の仕事や生活の影響を受けて変化する可能性が高い」との見方を示す。

中国青少年研究センターの専門家・周宇香氏は、「ほとんどの大学生は社会に出てから、結婚して家庭を築き、子供を持ちたいと強く願っている。ただ、その過程でたくさんの困難に直面し、『結婚や出産は難しい』と感じる人が多くいるだけだ」と分析する。

これに対してある専門家は、「今後、結婚・出産の結果の変化と動向は、公共政策が個人の結婚・出産費用、個人のキャリア発展の面のプレッシャーをどの程度軽減できるかにかかっている」との見方を示す。

関連のサポート政策も継続的に強化されている。中国国家衛生健康委員会や国家発展改革委員会を含む17当局が最近発表した「積極的な出産サポート対策の整備・実施に関する指導的意見」は、「結婚、出産、養育、教育を一体化させて検討し、財政、税収、保険、教育、住宅、就職などの面で、積極的な出産サポート対策を整備、実施する」としている。