中国の歴史・文化を楽しむ旅行が外国人に好評

中国では、祝祭日になると、海外旅行が多くの人の間で話題となる。2001年以降、中国では海外旅行が急成長期に突入し、近年は大ブームになっている。それと同時に、インバウンド客も急増しており、2016年1~6月、その数は延べ6787万人に達した。うち、外国人が9.0%増の1347万人だった。

 
万里の長城で中国文化を楽しんでいる外国人観光客

中国の魅力は歴史と文化

検索エンジン・グーグルで「中国旅行の目的地」と入力すると、香港地区、北京、上海、澳門(マカオ)地区、広州、西安、深圳、三亜、厦門(アモイ)、成都が、検索数トップ10となっている。別のクリック率の高い海外のサイトでは、「2016考慮すべき十大中国旅行の目的地」として、北京、蘇州、上海、黄山、杭州、張家界、香港、桂林、雲南、成都、西安、西藏(チベット)が挙げられている。

中国観光研究院の戴斌・院長は、「外国人観光客が中国に来ると、まずは自然の景色で、次に歴史・文化を見る。それらを比較すると、歴史・文化のほうにより多くの人が興味を持っていることがわかる。歴史・文化というと、北京と西安を挙げずにはいられない。これも、多くのランキングで北京と西安が必ずランクインしている理由」と説明している。

北京と西安は、長い歴史と、豊富な文化を誇り、客観的に見ても、中国がこれらの都市の特徴を生かして、海外に中国旅行をPRしてきたことがわかる。戴院長によると、「かなり長い間、中国の海外向けの観光宣伝動画や宣伝資料で欠かせない要素となってきたのが、万里の長城や故宮、兵馬俑など。外国人観光客は、それらに強い印象を受け、中国のイメージというと特にそれらを連想する」。

 

定番の旅行から個性ある旅へ変化

近年、旅行スタイルや旅行観念、中国旅行市場などの変化に伴い、外国人観光客に人気の中国旅行のスタイルにも変化が起きている。例えば、外国人観光客に最も人気の中国の美食にスポットを当てたランキングや、「そこにおいしい食べ物があると聞いた」というだけで、広州や成都に行く外国人観光客も登場している。

以前のほとんどのランキングは旅行先の都市にスポットを当て、歴史や文化が特徴の都市や一・二線都市が主にランク入りしていた。一方、近年は、ランキングに県や鎮などの小都市が登場するようになっただけでなく、多くの三・四線都市、辺鄙な都市にまで目が向けられるようになった。

北京聯合大学観光発展研究院の張凌雲・院長は、「近年、中国の中西部地域にまで足を伸ばす外国人観光客が増加している。外国人観光客はそれらの地域で、ハイキングをしたり、自由旅行をしたりしている。このような旅行スタイルは、ツアー旅行や定番の都市を巡る旅行よりも、外国人観光客の好みにマッチしているほか、他では味わえない体験をしてもらうことができる」との見方を示す。

 

中国での生活をじっくり体験

旅行ガイドブック「ロンリープラネット」で紹介されているおすすめの中国旅行には、21日間の中国一周旅行、8日間の北京—西安—蘇州—上海などの都市巡り、13日間の北京—西安—麗江—陽朔—香港の風景を楽しむ旅、北京—西安—嘉峪関—烏魯木斉(ウルムチ)—カシュガルのシルクロードの歴史を楽しむ旅などがある。うち、中国一周旅行が特におすすめのコースとなっている。

21日間のこのコースでは、北京や上海、西安、成都、重慶などの都市を巡るほか、中国広西チワン族自治区桂林市の小さな都市・陽朔県で3日間過ごすプランは注目に値する。21日間の中国一周旅行の説明には、「生活感いっぱい日用雑貨卸し売り市場で中国人と値段交渉、万里の長城でハイキング、揚子江を遊覧、陽朔の山や川を自転車で自由に駆け巡る……」と書かれている。インバウンド市場が開放されたばかりのころ、外国人観光客は中国の定番の人気観光地ばかりに行っていたのと違い、このような現地の生活をゆっくりと体験する旅行が、外国人観光客の間で今人気になっている。