中国の世界遺産登録数が世界2位に

7月17日、トルコのイスタンブールで開催された第40回世界遺産委員会から、中国の湖北の神農架が世界自然遺産として登録されたとのうれしいニュースが届いた。15日にも、広西チワン族自治区の左江花山の岩絵の文化的景観が世界遺産として登録された。これで、中国の世界遺産は50件と、世界最多のイタリアの51件に次ぐ世界2位となった。


神農架

ダブル登録成功

17日、神農架の世界登録が投票で決まったことを知ると、神農架林区常務副区長の羅棟梁さんは「神農架が世界自然遺産に登録されたということは、森林保護にとって最高の評価」と興奮気味に語った。

世界遺産委員会は「神農架はその生物の多様性や、成帯性植生のタイプ、垂直自然帯、生態・生物の過程などの面で独特であり、世界で最も整った垂直自然帯を有している。その生物多様性は、世界遺産リストの空白を埋めた」と評価している。

今回の登録成功で、神農架は、中国で初めて、世界で2件目の▽国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産▽人と生物圏保護区▽世界地質公園―の3つに認定された場所となった。神農架林区の李発平区長は、「今後、科学的な方法を取り入れた管理で、神農架の良好な自然資源の保護を強化していき、人間の目を保護するように、農架を大事に守っていきたい」とその決意を語った。

広西チワン族自治区の左江花山の岩絵の文化的景観も今回の世界遺産リストに加えられた。中国にとっては、初の岩絵というジャンルでの世界遺産誕生となった。チワン族の祖先である駱越人が残した遺跡が世界文化の貴重な宝となったのだ。今から約2000年前、駱越人は広西チワン族自治区左江、およびその支流の明江の沿岸にある山壁に、鮮やかな赤色で壮麗な岩絵を描いた。現在、左江流域では、岩絵89カ所、300組が発見されており、絵の総数は5000点以上となっている。

これら貴重な遺跡を保護するために、現地の人々も多大な努力を払っている。城中鎮耀達村の入り口の目立つ位置に「城中鎮耀達村の村民の花山岩絵を守るための約束」として「花山を守り、神のようにそれを大切にする」、「山の草木を伐採しない」、「岩絵のある山の岩を傷付けない」と書かれた掲示板が掲げられている。


広西チワン族自治区の左江花山の岩絵の文化的景観

14年連続で登録成功その数も急増

1985年、中国は「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に加盟。87年に、世界遺産委員会は初の中国の世界文化・自然遺産として、故宮博物院、周口店の北京原人遺跡、泰山、万里の長城、秦始皇帝陵及び兵馬俑、莫高窟の6カ所を登録した。そのうち、泰山は文化と自然の複合遺産として登録されている。

「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」の加盟から約30年の間に、中国は世界遺産の申請や保護を積極的に展開し、世界遺産の数が最も急速に増えている国となっている。2003年から、中国は14年連続で、世界遺産リストへの登録を果たしている。今年、2件の申請が認められ、中国の世界遺産の数は50件になった。そのうち、世界文化遺産が35件(うち4件が文化景観遺産)、世界自然遺産が11件、複合遺産が4件となっている。

中国社会科学院の学部委員である劉慶柱氏は「現在、中国は名実ともに世界遺産大国となっており、世界遺産委員会の高い保護要求と基準に直面している。登録が成功してもしなくても、登録申請を考慮している物件も同様の課題に直面している。社会各界が世界遺産に注目し保護するよう推進しなければならない」との見方を示している。

世界遺産申請を通して世界文明を伝承

専門家は「中国が世界遺産の申請を積極的に行っていることは、文化に対する自信が次第に強くなっているということ。世界文明の伝承や発展においても大きな貢献をしている」と評価している。

14年6月、中国、キルギス、カザフスタンが共同で登録申請した「シルクロード : 長安―天山回廊の交易路網」が世界文化遺産として登録された。他国と共有する「国境を越える世界遺産」はこれが世界初だった。登録決定の発表がなされると、会場からは割れんばかりの拍手が起こった。各国の専門家は、世界最長のこの文化遺産に最大の賛辞を送った。

中国国家文物局の童明康副局長は、「世界で最も偉大な、貿易、対話、平和、発展の道であるシルクロードが『国境を越える世界遺産』となったことで、中国とキルギス、カザフスタンなどの中央アジアの国の友情が一層深まった。そして、現代の中国と中央アジア地域各国の平和、対話、共同発展のためのニューベルトとなった」と強調している。


広西チワン族自治区の左江花山の岩絵の文化的景観