~「日本のデジタル社会へ向けての課題と展望」その18~
「デジタル田園都市国家構想について」

前回は、日本政府が進める『デジタル田園都市国家構想』の概要について述べたが、今回からは、シリーズとして、本構想の実現を支援するために2022年2月18日に設立された一般社団法人デジタル田園都市国家構想応援団(略称:デジ田応援団、写真参照)の活動について述べる。

左から濱崎常務理事、藤原代表理事、若宮大臣、KONISIKI応援団長、岡田専務理事

 

『デジタル田園都市国家構想』は、(1)デジタル基盤の整備、(2)デジタル人材の育成・確保、(3)地方の課題を解決するためのデジタル実装、(4)誰一人取り残されないための取組、の4つが骨子となっている。

デジ田応援団では、これを実現するために、以下の5つの特徴を有する。すなわち、①この国家構想の実現を目指す官民有志が集う、②ポストコロナの全く新しい世界像を提示、③日々働き、学び、暮らす生活や地域からデジタルの実装を進める、④地域の利便性を高め魅力を発信し地方と都市の格差縮小、⑤世界とつながる新たな変革の波を起こす具体的なアクション、の5つである。このことから、デジ田応援団は、産官学民各界の方々との意見交換や交流・共創をするために設立された、民間企業、非営利法人、自治体、個人の会員から成る、非営利の一般社団法人であるといえる。換言すれば、デジ田応援団は、『デジタル田園都市国家構想』を実現しようとするパートナー参加する自治体を、「デジ田官民連携」活動によって全面支援する団体である。

具体的なデジ田応援団の活動方針は、以下の5つである。すなわち、(1)会員向け、「デジタル田園都市国家構想」への取組み、活動状況、関連連絡先を「デジ田応援団」ホームページとSNSによる発信すること、(2)会員間の相互交流を推進すること、(3)活動主体は、国家構想を実現するという共通の目的の下に集まる「人間力」と「技術力」を持つ「活動会員」によって適宜構成される複数の「デジ田応援事業チーム」であること、(4)「デジ田応援団」は、「デジ田応援事業チーム」の集合体で、若宮大臣の言葉を借りれば、各地・各社の「点」の事業を「面」にして、世界につながる持続可能な事業として経済社会に貢献すること、(5)「デジ田応援事業チーム」は、「デジ田応援団」の一員として、地域課題やビジョンを共有する複数の自治体パートナー会員or住民である個人・法人会員の要望に対応するために組成されること、の5つである。これら5つの活動方針に従って、デジ田応援団は、ある期間、ある地域のために、地域資源を活かし、デジタル技術を駆使し、革新を生み、利便性に富み、福祉を向上させ、地域社会で、自治体と法人と個人による事業の持続可能性確保のために活動することとなる。

以上に述べたように、一般社団法人デジタル田園都市国家構想応援団は、参加する自治体を全面支援することによって、デジタル田園都市国家構想の実現に貢献したいと考えている。次回からは、各地域で行っている活動状況について述べることとする。

プロフィール

1954年、福岡県生まれ。京都大学理学部(宇宙物理学科専攻)卒。日本アイ・ビー・エム株式会社、日立エンジニアリング株式会社、株式会社アスキー等を経て、株式会社インターネット総合研究所等を設立し、現職。96年、東京大学より工学博士号を取得。現在、SBI大学院大学学長、東京大学大学院数理科学研究科連携客員教授。