海外レンタカー旅行が中国人のトレンドに

今では中国人のライフスタイルの一部となった旅行。中国人にとっての旅行は、もはや単なる名所観光だけではなく、自分の気分やペースに応じて、他の人が見ることができないような景色を探し当て、一般的な旅行では味わえない旅情を堪能できる経験となった。現在、海外レンタカー旅行は、最も人気のある海外旅行の一形態として、中国で爆発的に増加しており、多くの観光客にとっての選択肢となっている。

このほど発表された「2015中国海外レンタカー旅行報告」によると、同年、中国のオンライン海外レンタカー市場の取引額は131億3000万元(約2200億円)に達し、2016年には前年比88.6%増となる見込み。中国の運転免許証保有者は、世界約180カ国・地域でレンタカーを運転することが可能で、レンタカー旅行は海外旅行の新パターンとして台頭している。

レンタカー旅行、人気目的地トップは米国

眼前に広がる広大な海景色を堪能しながら沿岸道路をドライブするという最高の体験は、海外でレンタカー旅行を楽しむ中国人にとって最大の魅力だ。旅行予約サイト「螞蜂窩旅行網」とレンタカー予約サイト「租租車」が共同で発表した「2015年中国海外レンタカー旅行報告」によると、中国人に最も人気が高い海外レンタカー旅行目的先は、米国・国道1号線(ルート1)、ドイツ・ロマンチック街道、フランス・オートルートA7(太陽高速)、ハワイのハナ・ハイウェイなど。レンタカー旅行で米国を訪れる中国人観光客の30%は、ルート1をドライブする旅程を組んでいる。

中国人観光客の海外レンタカー旅行人気目的地トップ10は順に、米国、オーストラリア、ドイツ、フランス、カナダ、タイ、トルコ、ニュージーランド、イタリア、英国で、先進国で道路交通条件が整った場所に集中している。タイはアジアで唯一ランクインした国で、多くの中国人にとって、海外レンタカー旅行を初めて試みる場所となっている。

報告によると、2015年、レンタカー旅行を目的として海外を訪れた中国人観光客の延べ人数は、前年同期比130%、レンタカー予約サイト「租租車」での海外レンタカー予約件数は同600%、それぞれ増加した。海外レンタカー旅行客の70%は、消費力が高い1970年代生まれと1980生まれで、インターネット・金融・マスコミの各業界に従事する男性が中心となっている。また、1990年代生まれの海外レンタカー旅行者も急増しており、2015年は前年比485.5%増加した。海外レンタカー旅行者は引き続き、一線都市の市民が主流を占め、北京・上海・広州・深圳各都市の市民住民が全体の50.3%に達した。成都・蘇州・杭州・南京の各都市もスピード成長を続けており、うち成都市民の増加幅は489.7%に上った。

中国の運転免許証は海外で通用するのだろうか。海外で車を借りるためには、予約や各種手続きが煩雑なのではないか。海外レンタカー旅行という新たな選択肢が生まれた今、このような疑問を持つ観光客は多いだろう。

オンライン・プラットフォームが登場したことで、海外でレンタカーを借りてドライブすることは、国籍・言語・運転免許証といった障害が取り払われ、従来の海外レンタカー市場に存在していた「レンタル価格が不透明」「車種など各情報が不明瞭」「中国語による顧客サービスが受けられない」などの問題が解決され、海外レンタカーにおけるユーザーエクスペリエンスが向上した。携程網の「海外レンタカー」プラットフォームは、世界86カ国でのレンタカーサービスを提供している。

淘宝網阿里旅行は、極めて豊富なレンタカー対象車種を取り揃えており、租祖車、恵租車、赫茲、安飛士などレンタカー各社も、さまざまな特典付きレンタル製品を消費者に提供している。阿里旅行は4月から、携帯端末クライアント向けレンタカー専用サイトをリリース、海外レンタカーの予約手配が、航空券予約・購入と同じくらい簡単にできるようになる。

このほか、観光客がレンタカー会社の公式サイトで予約手続を行う方法も、非常に便利になった。世界最大のレンタカー会社・ハーツレンタカーは、中国人顧客向けに中国語版ウェブサイト、中国語によるホットライン、微博(ウェイボー)・微信(Wechat)を通した予約しシステムを用意している。顧客は、約150カ国にある8800カ所のハーツレンタカー営業所で、レンタカーのピックアップ/リターンを行える。

最高に行き届いたサービスで旅行中のトラブルを解決

ハーツレンタカー中国区シニア・ディレクターを務める魏冬梅氏は、次の通り話した。

「運転免許証と自動車保険・救援サービスは、中国人観光客が海外でレンタカーを借りる際の難点だった。これまで、中国人が国内で国際免許証を取得する場合、翻訳言語が限られているだけではなく、取得料が極めて高く、手続きが非常に煩雑で、多大な時間を要した。昨年末、ハーツは祖祖車と共同で『運転免許証翻訳フォーム(HDLT)』を打ち出し、『国連道路交通に関する条約』および厳格な国際基準にもとづき、9か国語をカバーしたHDLTサービスを開始した。外国でレンタカーを利用する中国人観光客は、レンタカー営業所でレンタカーをピックアップする際に、中国国内の免許証と同サービスによる翻訳文書を提示するだけで、スムーズに処理が進むようになった。顧客は、10分ほどの時間をかけてネット上で手続を行えば、家に居ながらにしてすべての処理が完了、時間とエネルギーが大々的に節約される」。

「ハーツは、中国人顧客により多くの便宜を図るため、中国語版GPSナビゲーター、チャイルドシート、スノータイヤ、Wi-Fi接続サービス、代行給油、中国語による24時間救援サービスなどの各種サービスを取り揃えた」。

旅行関係専門家は「市場の発展潜在力から見て、海外レンタカーというブルーオーシャン市場(競合のいない未開拓市場)は、まだまだ発展の余地がある。海外レンタカーに対する需要は、今後5年間で、爆発的に増加すると予想される)と分析した。