ふくよかな女性が「楊貴妃」で大人気に 「美しさに定義はいらない」

「中国各地のネットユーザーが私と写真を撮るためにやって来る」と話すのは、陝西省西安市にある唐の時代の庶民の生活を体験できる没入体験型施設「長安十二時辰」で、唐の皇妃「楊貴妃」を演じる女性・王宇さん(28)で、最近一躍有名人となっている。北京青年報が報じた。

「長安十二時辰」のスタッフである王さんの普段の主な仕事は、軽食を作ったり、お茶を煎じたりといったデモンストレーションをして、観光客に唐の時代の人々の生活を紹介することだ。

1日9時間勤務という王さんは、「頭飾りはとても重く、8-9時間載せていると、頭皮が痺れるようになってしまうほど。自分でメイクをしたり、衣装を着たりするのに、毎朝少なくとも3時間はかかる。楊貴妃を演じるために、自分にできる限りの努力をしている」と話す。

西安市出身の王さんは、美術を専門に学んだ後、これまでずっと唐の時代のお菓子文化関連のデザインの仕事をしていた。しかし、病気にかかり、その治療のためにたくさんのホルモン系の薬を服用していた影響で体重が65キロから約100キロにまで増加してしまったのだという。

王さんが自信をもって楊貴妃を演じる姿が多くの人の視野に入るようになって以来、多くのネットユーザーから、応援コメントが寄せられてきた。しかし、「楊貴妃はぽっちゃりはしているけど、太っているわけではない」といった、王さんの「体重」に関して異議を唱えるようなネガティブなコメントもあるという。その点について王さん自身は、「女性の美しさを定義する必要はない。私が太っている原因や私が経験していることを、多くの人は知らない。また、芸名を『楊貴肥』にしているのは遊び心からで、自分のパフォーマンスを通して多くの人にハッピーを届けたいと思っている」と話す。また、ネットユーザーのネガティブなコメントについては、「チェックする時間もない。誰が何を言っているかを気にする必要も、そのコメントを細かく詮索する必要もないと思っている。私のことを愛し、好きでいてくれる人がこんなにたくさんいる。彼らは私のルックスの良し悪しをどうこう言うことはなく、身近な友人と同じで、私の苦労や大変さを理解してくれていて、私の内面や性格を高く評価し、励ましてくれている。そのような人がいてくれるので、ポジティブに生活することができている」と話す。

今後のキャリアプランについて、王さんは、「『長安十二時辰』が一般公開され続ける限り、私もずっとここで文化をPRしたい。今後は、楊貴妃をよりリアルに演じることができるように頑張るほか、より優れた漢文化関連の文化クリエイティブグッズも作っていきたい」と話した。