6月6日、中国では人気俳優リウ・イーフェイ主演のテレビドラマ「夢華録」の放映が始まった。「夢華録」は関漢卿原作の元の雑劇「趙盼児風月救風塵」を改編した作品で、趙盼児、宋引章、孫三娘という北宋時代の3人の伝説的女性の物語である。女性が勇敢に愛情を求める姿だけでなく、女性間の友情や助け合い、共に奮闘するようすにも重点を置いて描いている。
近年、中国ドラマには「流金歳月」、「三十而已」、「歓楽頌」など女性個人の成長や女性間の友情を描く作品が多い。このタイプのドラマは中国の視聴者に人気があるが、それは新しい時代の中国女性の現実生活での悩みや迷いに応えているからである。
これも中国映画・ドラマのテーマ選択と世界のメジャー路線とがリンクしている一例だ。同じように、リウ・イーフェイが主役を演じたハリウッド映画「ムーラン」も、男尊女卑の社会で女性が自身の力によって自身の価値を証明する物語であった。
芸術は生活を源とする。映画やドラマのテーマが国際化する背景には、中国の経済、教育、文化、社会の発展がもたらした女性の地位向上がある。中国は女性活躍大国である。2021年の統計では、中国の15歳以上の女性の労働力率は60%を超えており、世界第一位となった。この背景のもとで中国女性の平等意識は大きく上昇している。
しかし、企業や社会のジェンダー平等は女性たちの意識の向上のスピードについていっていないのが現状だ。中国女性はジェンダー平等意識と個人の能力が向上しているなか、必然的に個人の成長、未来のプランや周りの意識に関するギャップに遭遇するが、そんな時には女性同士でしか共感できないことが多い。だから、女性個人の成長と女性同士の友情を描いたドラマにも大きな市場がある。
ここで挙げた「夢華録」と「ムーラン」は、放映、公開上映前の期待が非常に大きかった。その大きな理由の一つは、主演のリウ・イーフェイにある。10年前のインタビューでは、彼女の清潔感と自然な雰囲気が男性に好まれているのではという司会者の発言に対して、彼女の返答は一言「男性の好みなんか気にしたことがありません」。当時はさして注目されなかった場面であるが、近年女性の意識が変化するなか、突然ネット上で人気を博し、彼女は10年前にもうフェミニズムに目覚めていたとネット上で称賛されている。
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