古越龍山「只此青玉」 東京で異彩を放つ

昔、王羲之や謝安らの名士42人が蘭亭で開いた曲水の宴は、一献一詠の風雅な催しとして、今も歴史的美談として語り継がれている。先ごろ、古越龍山東京事務所がミシュラン星付きのレストラン・中国飯店富麗華で紹興酒を楽しむ会を開催した。日本の文化界、経済界などから51人が参加し、名士たちが集う宴となって大いに異彩を放ち、中国ブランドの海外進出を象徴する出来事となった。

この会では、日本の著名な建築家で、東京大学特別教授・名誉教授である隈研吾氏が乾杯の挨拶をしたが、その中で、横浜で過ごした幼少時代を振り返り、横浜中華街での思い出や紹興酒との初めての出会いについて語った。

隈氏はかつて魯迅の「藤野先生」こと藤野厳九郎先生の孫と同級生であり、そこで魯迅の作品に触れて、紹興酒とはどのような美味い酒かと好奇心を抱き、紹興酒のファンになったという。

日本の発酵学の第一人者である東京農業大学名誉教授、発酵文化推進機構理事長の小泉武夫氏が基調講演をおこない、「今日の紹興酒は高級ワインのようだ」と称えたうえ、「紹興酒は米から醸造されており、日本人の体質にとても合っている」と専門的な角度から紹介した。

また、日本政府が日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術をユネスコ無形文化遺産に登録するよう申請したことに言及し、「中国酒の醸造過程は非常に複雑であり、紹興酒はなぜユネスコ無形文化遺産となってないだろう」と多少残念そうに述べた。小泉氏は古越龍山東京事務所が日本で中国の酒文化を広め、日中歴史文化交流の分野で貢献していることを高く評価した。

今回の紹興酒を楽しむ会には古越龍山東京事務所の所長である夏良根氏が自ら米作りからこだわって造ったオリジナル紹興酒「夏之酒」と古越龍山「只此青玉」、「純龍」、「澄龍」、「十年陳」など6種類の銘酒が並び、琥珀色の輝きを放ち、その香りに心が惹かれ、豊潤な味わいをもたらした。

特に注目すべき一品は、全体が淡いターコイズブルーの磁器に入った20年物の紹興酒で、名画『千里江山図』からインスピレーションを得た有名な舞踊詩劇『只此青緑』とのコラボである「只此青緑只此青玉」だ。

富麗華のシェフとソムリエが一つ一つの美酒の特徴に合わせた料理を考案し、見た目と味とが互いを引き立て合って、ゲストたちの舌を巻かせた。

全日本華人書法家協会の高小飛会長がその場で筆を取って、「千年国醸 只此青玉」と揮毫し、中国画と中国酒のコラボレーションは、「国潮」が国粋を活発化させる革新的な要素であり、中国の文化面における自信を明確に表すものであると称賛した。

夏良根氏は、パワーポイントを使ったプレゼンテーションで、ゲストたちに千年の古都・紹興と千年の美酒・紹興酒を紹介し、心を込めて中国の物語を語り、中国の地方の特色を生かした優れた酒文化を発信した。

夏良根氏は紹興出身で、上海復旦大学卒業後、2002年に日本に留学し、日本の共同通信社に十数年勤務したのち、有機農業に身を投じ、2018年に帰国して故郷に貢献し、2020年に古越龍山東京事務所の所長に就任した。

彼は日本の先進的な理念と技術を中国の紹興酒のふるさとに持ち帰り、ナショナルブランドを振興させ、エコ文明の建設に邁進し、学んだ全てを紹興酒の国際化推進のために注ぎ、古越龍山を世界的なブランドにしていくことを目指している。

春秋戦国時代、「臥薪嘗胆」の故事で有名な越王勾践は、紹興酒を人口を増やすための奨励品として使い、呉への出陣前には酒を川の上流から投じて兵士に振る舞い士気を上げたという。時代は下り建国10周年には周恩来総理が指定した500本の紹興酒が釣魚台迎賓館で座を盛り上げ、さらには中国国家主席の訪米時のホワイトハウスのレセプションにも紹興酒が登場した。

そして、今回の紹興酒を楽しむ会は紹興酒の輝かしい歴史にさらに美しい一章を加えたのである。