〈連載〉 北京紀行(その4)
~現代中国の指導者を養成する北京大学キャンパスを訪問して~
藤原洋 株式会社ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO

北京紀行その2でご報告した通り、北京大学は、「中国の東大」的位置づけの大学で、世界ランキング50位以内の中国のトップ大学(工学系は清華大学が評価高い)です。今回は、人文学院と経済学院という社会科学系学部の教授の方々とお会いし、その後特別講義を行うために、現在の北京大学キャンパスを訪問しました。写真は、東大の赤門風の由緒正しい正門前での記念撮影です。

今回お会いした北京大学の研究者の方々と北京大学が経営するモダンなホテル(北大博雅ホテル)で昼食をしました。このホテルは、国立大学のホテル!というくらい洗練されていて驚いてしまいました。

このたび、私が産業革命史と今後の未来について(演題:『第4の産業革命』~デジタル情報革命から環境エネルギー革命へ~)講義することとなったため(キャンパス内の告知ポスター)に招待してくれた歴史学系副主任の王新生教授(主として日本史)と歴史学系主任の高毅教授(主としてフランス革命史)と面談しました。

歴史系教室に入って直ぐに目立つのが1960年代に歴史系主任をされた煎泊賛博士の銅像でした。煎博士は、文化大革命の際に命を落とされたそうですが、文化大革命の後、市場原理導入による鄧小平改革が起こり、現在では、あるべき現代中国への道を志向していた学者として評価されています。

その後、王教授の部屋に案内されましたが、教授室には、葛飾北斎の富嶽三十六景の赤富士(『凱風快晴』)が掲げてあり、『日本戦後史』を執筆されたところでしたが、正に知日の研究者だという印象を受けました。

経済学院副院長の章政教授は、経営学分野の知日学者で日本経済新聞のセミナーや日本企業向けの中国経済の講義などを頻繁にされている方です。

北京大学のロゴは、北大がベースとなっています。北京大学には、また、東大を彷彿とさせる夏目漱石の小説にもあった三四郎池のような池があります。名前を募集したが、決め手となる名前がつかなかったとのことで「未名湖」と呼んでいるのだそうです。また、塔が見えますが、この塔は、歴史的な趣がありますが給水塔だそうです。この塔は、「博雅塔」と呼ぶそうです。キャンパスの風景をさらに示しますが、最後はかなりハイレベルの数学研究センターです。

素晴らしいキャンパスに十数億人から選ばれたとびきり優秀な教授陣と学生が集まっているという印象を受けました。(つづく)

 

 

藤原 

<Profile>

1954年、福岡県生まれ。京都大学理学部(宇宙物理学科専攻)卒。日本アイ・ビー・エム株式会社、日立エンジニアリング株式会社、株式会社アスキー等を経て、株式会社インターネット総合研究所等を設立し、現職。96年、東京大学より工学博士号を取得。現在、SBI大学院大学副学長教授、慶應義塾大学環境情報学部特別招聘教授。