榎 善教 エノキフイルム社長
私の日中交流史 その十

これまでは、日中の人の往来を述べて来ましたが、この回では私の学んだ中国文学の映像化や他社が中国古典文学をベースにして制作した映画やテレビドラマを、私が率先して全世界に向けて配給して来た事を列記してみましょう。

私が関係した中国の古典をアニメ化した最初の作品は、日台合作『三国志』でした。それは、多分1970年代の初めだったはずです。たった数話の短いシリーズでしたが、何か国かに許諾した記憶があります。

次に、虫プロダクション制作の『梧空の大冒険』(30分×39本)は製作年度が1967年と古いのですが、私が海外配給権を得たのは1990年代でした。原作は手塚治虫の漫画『ぼくのそんごくう』で、まさしくギャグアニメの金字塔とでも言うべき作品でした。

忘れられないのは、1981年に中国から輸入した上海美術映画製作所製の劇場アニメーション『悟空天を騒がす』です。1982年の正月番組として、突然放映が決定したので放送翻訳が間に合わず、私が直訳して放送作家に渡した事を記憶しています。時間がなく、徹夜で翻訳したのでひょうそうになり、痛い思いをしながら放送を視ました。映画は実に素晴らしい完成度で、中国アニメーション史の最高傑作と言って良いでしょう。上海美術映画製作所は中国で最も古いアニメーションスタジオでとして、今は亡き創業者の万籟鳴の後継者達が頑張っております。

『横山光輝三国志』(30分×47本)は1991年10月からテレビ東京で放映を始めました。この作品は制作会社の依頼で私が放映枠を提供して、海外配給を得たものです。当時、中国の俗謡にあるごとく、『紅い顔の関羽さん、黒い顔の張飛さん』とあるのに、関羽は紅くないし、張飛は黒くないと言われて困ったものです。


三国志

次にシナノ企画が製作した劇場用アニメの超大作『三国志』(3部作、計7時間半)の海外配給権を当社が預かる事になり、先ずはアメリカにて劇場公開を致しました。

『天地無用』(30分×26本)1995年4月からテレビ東京にて放映。


孔子

『孔子伝』(TVスペシャル)、この作品は台湾の漫画家鄭問の『東周英雄伝』にもとづき日、韓、台の三か国の合作をしたものです。

『封神演義』(30分×26)、1999年7月からテレビ東京にて放送スタート。


モンキーマジック

『モンキーマジック』はCGアニメーション制作の孫悟空です。1999年12月から放映スタートした。当初、当社は海外配給だけの予定だったが、依頼されて国内配給も手がけたのです。


最遊記

『一騎当千』(第1期、30分×13本)、2003年7月からATXにて放映スタート。塩崎かずやの原作による。三国志のパロディである。

『幻想魔伝最遊記』(30分×50本)、2004年7月からテレビ東京にてスタート。峰倉かずやの漫画作品による。

以上、長年にわたり、多国籍に向けて配給した中国がらみの作品の数々でした。

これからも、中国古典をベースにした映像作品を製作し、配給したいと思っています。実は今なお企画が目白押しの状態なのです。