宮川 敬多 JIE商事株式会社顧問
健康寿命を延ばすことは、ひとつの社会貢献

日本は「人生百年」時代を迎え、中国は「健康大国」を国家戦略として標榜する。近代化の過程で、中日両国間には争いや摩擦があったが、健康寿命を延ばすことは、中国と日本が共同して追求すべき目標となっている。今こそ、健康食品・サプリメントメーカーが力を発揮して役割を果たし、中日両国の日増しに高まる健康ニーズに応える時である。先ごろ、JIE商事株式会社の宮川敬多顧問を取材し、ヘルスケア業界の展望などについて、お話しをうかがった。

「未病先防」の健康理念を注視

—— 統計によると、中国人の一人当たりの健康食品・サプリメントの消費量は欧米諸国と比べても非常に少なく、アメリカのわずか七分の一で、中国の健康食品・サプリメント市場は大きな潜在力を秘めています。予防に重きを置くという方針の下で、中国の消費者のヘルスケア産業に寄せる期待は大きくなっています。今後の市場の見通しについて、どうお考えですか。

宮川 中国人も日本人もお米を主食とする農耕民族です。ところがここ数十年、食生活の欧米化によって、ステーキ、ピザ、パスタなどが伝統的なスープや野菜の食事に取って代わり、栄養摂取の面でも栄養不足から栄養過多へと向かっています。

日本と中国には「医食同源」という考え方が根付いており、両国国民の健康意識に大きく影響しています。日本が健康食品を食品と考え、医薬品としない理由もそこにあります。

アジアの国々では、女性の産後の不調や低血圧、貧血には高麗人参を煎じて飲み、滋養を補います。食事が治療効果を発揮すると考えられているからです。

しかし実際には、食事によって得られる有効成分は限られています。例えば、納豆が体に良いことは日本人の誰もが知っていますが、何か月も毎日食べ続けるとなると大変です。そこで、健康食品をということになります。納豆成分を含んだ健康食品を毎朝一度口にするだけで、必要な栄養成分を簡単に摂取することができます。従って、私は健康食品を栄養補助食品と考えています。

中国も日本も少子高齢化問題に直面しています。この二つの問題を短期間で解決することは困難であり、結果として医療費が増大していきます。日本政府は、老後に2000万円の資金が必要であると指摘しましたが、政府にとっても家庭にとっても大きな負担です。東洋医学や漢方の長い歴史を擁するアジアの国々は、「未病先防」という健康理念に鑑みて、健康食品を取り入れて健康寿命を延ばしていくことが重要と考えます。

中国の材料が支える日本の高品質健康食品

—— 中国は健康食品の材料大国になりつつあります。中国医薬保険品輸出入商会のデータによると、アメリカ及びヨーロッパ、オセアニアの国々で使用されている健康食品の原材料の80%以上が中国から輸入されていて、その多くが植物から抽出されています。中国は健康食品強国と呼べるのではないでしょうか。

宮川 中国は日本の隣国であり、世界屈指の経済大国です。日本は訪日観光客だけでなく、材料の輸入でも中国に大きく依存しています。しかも、品質は年々向上しています。その材料がなければ、日本はメイド・イン・ジャパンの最高品質のものだと自信を持って言えるものを作ることができません。

JIE商事株式会社が生産しているサプリメントである高品質のNMNは、医療分野における最新の科学技術によるもので、細胞の老化を遅らせるだけでなく、中国が世界に貢献し得る貴重な財産である漢方薬の成分を加えたことで、複合的な効果をもたらし、アジア人の体質に合ったものになっています。

欧米諸国には、日本のドラッグストアよりも多くサプリメントショップが見られます。人々は自分で勉強して、ビタミンC だとかビタミンBだとか自分に必要なものを買いに行きます。それが生活の一部になっています。

ところが、日本のドラッグストアは日用品が主体で、サプリメントはほんの一部しか占めていません。しかも、医師やセールスマンにアドバイスを受け勧められてはじめて、自分に必要なサプリメントを知ります。従って、健康食品メーカーであるわれわれが率先して宣伝し、研究開発・イノベーション力を高め続けていくとともに、消費者の健康ニーズに積極的に耳を傾け、高品質の製品を提供していかなければなりません。ただ待っているわけにはいかないのです。

今後、中国の健康食品・サプリメントメーカーも次第に影響力と国際競争力をもつようになるでしょう。

中国の消費者に感謝

—— コロナ禍は観光だけでなく、商品の流通も阻害しました。日本は第四波の到来によって、先行きは一層不透明になっています。日本の健康食品メーカー、化粧品メーカーも大きな試練を迎えていると思いますが、御社はどのような対策をとっていますか。

宮川 われわれに信頼を寄せてくれる中国の消費者に感謝しなければなりません。コロナ禍は業界に大きな経済的打撃を与えましたが、多くの人々が自身の健康の維持と増進に注意を払うようになりました。

日本に観光にやって来てJIE商事株式会社の商品を知った中国の消費者は、コロナ禍にあっても、様々なチャネルを通じて繋がってくださっています。今後も引き続きJIE商事株式会社の商品を使ってもらいたいと願っています。

われわれは、名の知れた大手健康食品メーカーと比較して、研究開発のスピードが速く、新素材が出てくれば半年くらいで商品化できます。また、ベンチャー企業として、プライベートブランドを確立する必要があります。すぐに効果が現れるように高濃度の成分を惜しみなく使い、消費者に早く認知してもらうことで市場競争力を高めています。

また、中国の消費者ニーズを理解した上で、SNSを通じて積極的に発信し、輸出ルートの開拓に努めています。中国の消費者に認めていただいていることを誇りに思っています。

安全な健康食品で人々の生活の質を向上させ、健康ニーズに応え、健康寿命を延ばすことは、一つの社会貢献だと思っています。これからも、日本社会、中国社会のために更なる貢献をしていきたいと思います。