秋冬は、温かく滋養豊かな黒茶が最もふさわしい。9月12日から14日まで、「2025河南六堡茶文化祭・梧州六堡茶中原進出」イベントが河南省の国香茶城で盛大に開催された。
当イベントは梧州市茶産業発展局、鄭州市茶文化研究会、河南省茶葉商会の共催により、梧州市茶業商会が協力、管城区委宣伝部が支援し、六堡茶の主要生産地である広西省梧州市から40社余りの製茶メーカーが集い、3日間の会期で行われた。2023年、2024年に続き3回目の開催となる「河南六堡茶文化祭・梧州六堡茶中原進出」イベントは、過去最大規模で、参加企業も最多となった。
六堡茶の香りが満場のゲストを魅せる
茶の香りに包まれた会場は、多くの人で賑わった。各メーカーは日常口にする定番商品から希少な老茶まで、自慢の逸品を携え、価格帯もさまざまであった。初心者も愛好家も、それぞれの心にかなった品を見つけることができる。好みの席に着くと、茶芸師が手ずから茶を淹れてくれ、香り・色・味わい・後味などの説明を聞きながら、じっくりと味わうことができる。来客が途切れることはなく、会場は熱気に包まれた。
出展企業の約半数は過去にも出展しており、多くの経営者が「河南の茶市場は友好的で寛容であり、専門性が高く、六堡茶を深く理解している」と語っていた。
六堡茶の未来を熱く語る
専門性の高い当イベントには、業界関係者や企業の代表が多数参加した。特別プログラム「六堡茶風行・大家対談」では、茶文化学者で日本中国茶研究所所長の楊多傑氏、著名な茶専門家である中国茶葉流通協会の呉錫端副会長、マレーシア六堡茶協会の郭俊邦会長、中国制茶大師で六堡茶冷水発酵技術の代表的伝承人、中茶梧州公司元総経理の張均偉氏らが登壇。インタビューや円卓対話を通じて、六堡茶の歴史・文化、健康価値、市場の動向、今後の展望などについて議論を交わした。
彼らは、六堡茶の伝統的技工を守りつつ革新を図るべきとの考えを述べ、現代の健康志向を踏まえ、六堡茶の機能性飲料市場における潜在力と将来性に言及した。「中国黒茶の代表である六堡茶を、文化的シンボル、地域的特色、効能効果など多角的側面から体系立てて普及すべきである」「ブランドストーリーや品質基準を確立し、認知度と信頼性を高める」「ブリックパック、水出し茶、茶エキス製品など、商品の形態を大胆に刷新し、現代生活のニーズに応える」「デジタルマーケティングや異業種連携によって市場を拡大する」……専門家の積極的な提言と聴衆の活発な質問が交わされ、会場は大いに盛り上がった。
多彩な催しと数々の銘品
9月12日と13日の両夜、国香茶城1階の茶文化テーマパークで「清涼茶会」が開かれた。涼やかな風と月明りに包まれて、流行のマーケットを散策し、没入型の演出や革新的なお茶体験が、秋の夕べのロマンティックな雰囲気を創り出していた。
「六堡茶ティーブレンドチャレンジ」では、参加者が六堡茶をベースにさまざまな材料や独創的な手法によって、伝統の風味と独創的なビジュアルを備えたティードリンクを創作し、審査員は味わい・独創性・ビジュアルなどから総合評価し、優れた作品を選定した。
「20世紀熟成六堡茶テイスティングイベント」では、珠玉の逸品が並び、愛好家たちの注目を集めた。マレーシア六堡茶協会の郭俊邦会長と国内の著名な六堡茶研究者・専門家が、熟成六堡茶の価値、収蔵、保存方法、製茶工芸、貯蔵の心得、熟成などをテーマに考察を行った。
「六堡茶発展鄭州宣言」を発表
河南省は流通の要、商業後背地、文化の高地として位置付けられ、「北方茶業の心臓部」としての重要な地位を確立している。省都の鄭州市は茶葉取引の中継拠点であり、茶文化の発信地でもある。市場全体が低迷する中で、六堡茶は躍進を遂げてきた。不完全な統計ではあるが、2024年の河南省における六堡茶の売上高は5000万元(約10億円)を突破し、わずか数年で数倍になった。市場は敏感に反応し、地元の販売業者は速やかに商品の切り替えを進めている。
その背景には、河南省茶葉商会の梧州市茶産業発展局等との緊密な連携がある。六堡茶の品評会や普及活動に加え、「2025河南六堡茶文化祭・梧州六堡茶中原進出」イベントの開催に先立ち、マレーシア六堡茶協会会長でマレーシア中国茶商総会理事の郭俊邦氏、中国国際茶文化研究会副会長で河南省茶葉商会創会会長の姬霞敏氏らが代表団を率いて梧州を訪問。現地政府や業界関係者と面会し、産地と消費地の協力深化や六堡茶文化の普及推進について多くの共通認識を得た。
席上「六堡茶発展鄭州宣言」が発表され、六堡茶の普及に希望がもたらされた。宣言には、南北間の協力を強化し、流通網を整備し、安定した供給システムと文化振興のための枠組みを構築することが明示された。これは六堡茶産業が地域協調発展という新段階に入ったことを意味し、六堡茶の中原市場における地位を強固にし、そのブランド力と文化を全国に発信するものであり、六堡茶産業の発展に大きな意義を有する。
南北間協力、産地と消費地の連携、ブランドの構築、文化の発信によって、六堡茶はより広大な市場に挑もうとしている。
1980年代にはすでに六堡茶は日本の茶学界の関心を集め、一時は日本の市場にも広く流通していた。多くの六堡茶業者が筆者に、今後はぜひ日本でも展開し、日本の茶愛好家にも六堡茶の魅力を届けたい。そして、一杯の六堡茶によって、中日両国の茶文化交流を促進していきたいと話してくれた。(筆者はIKKO株式会社茶事業部部長)
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