湖北省恩施大峡谷の景勝地では、観光客がわずか1.8kgの外骨格ロボットを身に着け、楽に登山している。貴州を訪れた観光客は、観光スマートアシスタント「黄小西」によるきめ細かなサービスを体験。福建省泉州では、3Dデジタルキャラクター「和和」が半年で延べ10万人の観光客にサービスを提供し、満足度は96%に達した。――いま、中国の観光業はかつてない革新の波によって、人々の旅のイメージを一新している。
この革新の波は、中国の観光業の発展スタイルが大きく転換したことに由来する。かつては「バスで寝て、降りて写真を撮る」と揶揄されるように、ただ名所を巡るだけで、観光は粗放的な発展を続け、「景勝地依存・入場料経済」に頼りきりだった。
しかし近年、人々の観光需要は次々と解放され、「特種兵式(弾丸型)旅行」「逆方向旅行」「シティウォーク」など若者を中心に新しいスタイルが人気となっている。
観光の目的地も伝統的な景区や名所に限られず、街区、商業エリア、公園など日常生活の場に広がりつつある。生活感のある、体験型の観光が新潮流となり、観光業界もこれに応えて変化を加速させている。
観光の発展は、文化の魅力を生かして新しい体験を生み出すことが中心になった。河南省中牟県はかつて農業中心の地域で、観光の存在感は薄かったが、近年「鄭州方特ハッピーワールド」「只有河南·戯劇幻城」「鄭州海昌海洋公園」など大型テーマパークが集まり、特色ある観光地として注目を集めている。
「只有河南·戯劇幻城」では、56の迷路のような院落に21の大小の劇場を配置し、計700分に及ぶ多彩な演劇が繰り広げられる。観客は商周から唐宋、近現代までの時代を旅するように没入体験し、中原文明の壮大な歴史を味わえる。
「単なる観光施設ではなく、一つの文化作品だ」と運営者は語り、観光客も体験を通じてそう感じている。こうした文化の力が各地の観光に独自の魅力を与え、持続的発展の活力となっている。
テクノロジーの力が、観光のスタイルを変える大きな原動力になっている。
四川省九寨溝では、スマートシステムを使って入場者数を適切に調整し、観光客を景勝地や遊歩道、交通の要所へ分散させている。小さな工夫で、観光客は風景や文化により集中できるようになった。
さらに、世界に開放された「敦煌デジタル資源庫」では、世界中どこからでも莫高窟の高清画像を閲覧可能にしている。「尋境敦煌」デジタル展示館では、VRゴーグルを着けると莫高窟285窟に没入し、360度で細部を体験できる。テクノロジーは景区の負担を減らすだけでなく、文化の新しい伝播の形を創出している。
観光の新しい取り組みは、ほかの産業とも結びつきを広げており、「観光+工業」「観光+農業」「観光+健康」「観光+スポーツ」「観光+教育」などの取り組みが拡大している。
浙江省杭州の「茶観光」では、龍井茶の生産過程(畑から工房まで)を体験型観光と組み合わせ、観光客は茶摘みや炒茶に参加できる。茶農家は単に茶を売るだけでなく「体験を売る」ことで収入が大きく増加した。
内モンゴルのウラガイ草原では、観光と環境保護を組み合わせて進め、「緑の自然が富を生む」という考え方を実践する拠点となっている。
海南・万寧は観光を中心に「海・陸・空」の多様な産業を組み合わせ、「スポーツ+観光」の国内の重要拠点に成長した。観光の新しい取り組みは、農村の活性化や共同富裕を進める大きな力にもなっている。
革新は観光業に活力を与え、着実な成果を生んでいる。調査によれば、2024年の国内観光客数は56億1500万人に達し、前年より7億2400万人増えた。観光消費額も5兆7500億元(約115兆円)に上り、0.84兆元(約17兆円)の増加となった。南から北へ、東から西へ――全国各地で革新の火花が散り、中国観光の鮮やかな姿を描き出している。
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