「第14次五カ年計画」期に金融システムは安定的に運行
中国の銀行業総資産が世界一に

2025年6月末時点で、中国の銀行業総資産は約470兆元(9400兆円)に達し世界一となった。株式・債券市場の規模は世界第2位、外貨準備規模は20年連続で世界一を維持している。9月22日に開催された国務院新聞弁公室の「十四五計画を高品質で完成する」一連の記者会見では、中国人民銀行、国家金融監督総局、中国証券監督管理委員会(証監会)などの担当者が「十四五」(第14次5カ年計画)期における金融業の成果を紹介した。

予測を安定させ

自信を高める

この5年間で金融業はどのような成果を挙げたのか。

「金融が実体経済を支える質と効率は大幅に向上した」──中国人民銀行の潘功勝総裁はこう語る。「十四五」期に、ハイテク型中小企業向け融資、零細企業・小規模事業者向け普惠金融、グリーンローンはいずれも年平均20%以上の伸びを記録した。

特に2024年9月以降、人民銀行は一連の金融政策措置を打ち出し、市場の予測を安定させ、自信を高め、経済の持続的回復と高品質な発展を後押しした。

国家金融監督総局の李雲沢局長は、中国の銀行業と保険業の総資産はすでに500兆元(約1京円)を超え、世界最大の貸出市場、世界第2位の保険市場としての地位を固めていると述べた。

この5年間で銀行・保険業は、融資・債券・株式などを通じて実体経済に170兆元(約3400兆円)の新規資金を供給。保険業の累計支払額は9兆元(約180兆円)で、「十三五」(第13次5カ年計画)期比61.7%の増加となった。

中国証監会の呉清主席は、不確実性と不安定性が増す厳しい国際環境の中、党中央と国務院は資本市場に関して重要な方針を打ち出したと説明。「十四五」期にA株市場のレジリエンスとリスク耐性は顕著に強化され、上証総合指数の年率ボラティリティは15.9%と、「十三五」期から2.8ポイント低下した。

リスク防止能力が

持続的に強化

「十四五」期に中国金融業はリスク管理でどのような成果を上げたのか。

銀行・保険業を見ると、不良債権比率、自己資本比率、支払能力など主要監督指標は安定的で「健全な水準」にある。この5年間で不良資産の処理額は「十三五」期を40%以上上回った。さらにリスク耐性を高める資本・引当金総額は50兆元(約1000兆円)を超えている。

李雲沢局長は「金融監督の法制度の骨格が急速に整備され、デジタル化・高度化も進展。金融機関の健全性、業務の適正さ、機能面を監督し、資金の流れを徹底把握、継続的に点検する『五つの監督体制』が全面的に強化された」と語った。

潘功勝総裁は「金融監督はリスク防止の“第一の防壁”であり、金融リスクのモニタリング、予警、評価能力を強化し、“早期発見・早期警告・早期開示・早期処置”を徹底する必要がある」と強調。

例えば関係部門は地方政府に資金・資産・資源を統合させ、債務リスクを解消。2025年6月末時点で、2023年初と比べて融資プラットフォームの数は60%以上減少し、金融債務規模も50%以上縮小した。

呉清主席は「監督執行の実効性・抑止力を大幅に高めることは、リスク防止に有利だ」と述べ、中国証券監督管理委員会が、財務不正など投資家が最も嫌う違法行為に重点を置き、首謀者のみならず共犯者も厳しく処罰する全方位的・立体的な防止体系を構築したと説明。「証監会は常に安定を重視し、発展と安全を両立させ、監督の防波堤を築き、リスクの底線を守る」と語った。

 

経済の高品質発展を支える

最近、包銀高速鉄道(包頭―恵農区)区間の全線試験運行が順調に完了し、年末までに開通予定だ。開通すれば内モンゴル・包頭から寧夏・銀川までの所要時間は現在の約6時間から約2時間に短縮される。

国家開発銀行は、この事業に対し中長期融資やインフラ投資基金を通じて36億元(約720億円)以上の資金支援を行った。これは金融が実体経済を支える一例である。

李雲沢局長によれば、「十四五」期以来、金融資源の配分が最適化され、五大重点分野(テクノロジー・グリーン・普惠・養老・デジタル)が推進され、重点分野や弱点分野における金融サービスの質と効率が明らかに向上した。

例えばインフラ融資残高は54.5兆元(約1090兆円)で「十三五」期末比62%増、自動車保険では累計で16億台以上を引き受け、「十三五」期比40%増となった。

呉清主席は「過去5年で証券取引所市場での株式・債券の資金調達額は57.5兆元(約1150兆円)に達し、直接金融の比率は着実に上昇、『十三五』期末比で2.8ポイント増の31.6%となった」と説明。新規上場企業の9割以上がテクノロジー企業または技術含有度の高い企業であるという。

中国人民銀行副総裁・国家外為管理局の朱鶴新局長は、「『十四五』期に国家外為管理局は、外貨管理の制度を大きく改革し、開放をさらに進めることで、実体経済の質の高い発展を支えてきた」と説明。貿易外貨収支の効率は向上し、クロスボーダー投資・融資の利便性は改善、銀行の外為取引能力も強化された。

「小口・高頻度・電子化」という新しい貿易形態に対応し、銀行・決済機関が電子注文を自動一括審査できるよう支援し、越境ECなどの外貨決済を便利にした。「十四五」期以降、この方式で処理された取引件数は56億件を超えた。

 

総括

潘功勝総裁は「全体として『十四五』期に中国の金融リスクは十分にコントロール可能であり、金融システムは安定して運行し、経済の高品質発展を力強く支えた」と総括。「『十五五』(第15次5カ年計画)金融事業の発展を高い水準で計画し、中国式現代化の推進により多くの金融の力を注いでいく」と語った。