村山富市先生の平和への遺志を継ぎ、友好の未来を築く

村山富市先生のご逝去に際し、謹んで哀悼の意を表します。本日突然の悲報に接し、言葉もなく胸が詰まる思いでおります。元首相としてのご功績偲び、温かい人柄をしみじみと思い出しまして、深い悲しみに沈んでおります。

村山富市先生は日本国第81代の卓越した内閣総理大臣であり、そして東アジアにおいて歴史的な「村山談話」を発表しました。そして平和事業に生涯を捧げ、その確固たる信念と誠実な歴史反省を通じで、日本とアジア諸国との和解への道を築き、後世に貴重な精神的遺産を残されました。このような偉大な政治家を失ったことは、日本国民のみならず、国際社会全体にとって計り知れない損失でございます。

「村山談話」は、村山先生の政治人生における最大級の功績の一つです。1995年、第二次世界大戦終結50周年に際し、日本政府を代表して発表したこの談話で、初めて公式に日本の東アジアに対する植民地支配と侵略行為を認め、「深い反省と心からのお詫び」を表明しました。この談話は、日本とアジア近隣諸国、特に中国との関係改善の重要な基礎を築きました。村山先生は盧溝橋および現地の中国人民抗日戦争記念館を訪問した初めての日本の内閣総理大臣であり、行動をもって歴史に対する誠実な反省と平和への確固たる希望をお示しになりました。

私ども南京師範大学の教員・院生を中心とする「日本民間反戦記憶に関する多分野研究」プロジェクトの立ち上げに際し、村山先生より温かいご支援を頂戴ております。2018年には先生は私たちどものインタビューに応じてくださり、「歴史を学ぶことは極めて重要である」と改めて強調なさるとともに、若い世代の歴史認識の不足を憂え、歴史を鑑として過ちを繰り返さないように、と訴えておられました。

また、インタビューに同席されていたご令嬢からは、先生が生涯にわたり平和憲法を守り、戦争放棄と戦力不保持の原則を堅持し、「戦争は人を狂わせる」との信念の下、平和こそが国家と国民の根本的な幸福であるとのお考えを抱き続けていらっしゃることをうかがいました。

確かに村山先生は内閣総理大臣退任後も日本中国友好協会名誉顧問などを務めるなど、確固たる平和理念を日本と国際社会において実践なさいました。2019年には「村山首相談話を継承し発展させる会」と私どもの研究チームと共に国際シンポジウムを開催しまして、戦争に反対し平和を守るという共通認識を改めて確認しあったこともございます。

村山先生のご逝去は、日本の反戦平和運動における大きな損失ではございますが、その精神は永遠に後続の者を奮い立たせることでしょう。先生の生涯は、真の勇気は歴史から目を背けることではなく、歴史を直視し、過ちを反省し、より平和で公正な世界の構築に尽力することであると研究チーム私どもに教えて下さいました。

村山先生の生涯のご功績は、歴史上に刻まれて永遠に記憶されることでしょう。そして、私たち後進の者たちに対し、困難に直面しても理想を手放すことなく、勇気を持って前進しなさい、といつもでも激励して下さるに違いありません。今後は、「村山首相談話を継承し発展させる会」の皆さまとともに、私どもは先生のご意志をしっかりと受け継ぎ、世界の平和と友好のために力を尽くしてまいります。

村山富市先生のご冥福と先生の平和への証言が末永く世代を超えて響き渡らんことを心よりお祈り申し上げます。(作者は南京師範大学地域国別研究学院の院長である)