東洋の美学が再び世界の舞台に
呉騰飛が大阪・関西万博で「中国茶卓」を初披露

6月27日、大阪・関西万博で「東洋ファッション」国際芸術ウイークが開幕した。メインイベントの「紋采東方」アート展は、同26日から28日まで開催され、見事な展示で来場者を魅了した。展覧会は「衣を通じて道を伝える」「茶を通じて道を伝える」「芸術を通じて道を伝える」という3つのテーマを掲げ、世界中の観客に多様な東洋の紋様と東洋の文化の底力を体系的に紹介した。この展示は万博博物館が主催し、囍陸ブランド、中国工芸美術学会紋様研究開発センター、麒麟共創が共催した。

伝統と現代、東洋と世界の要素が融合したこのイベントで、中国木彫芸術の巨匠で高級工芸美術師の呉騰飛氏が「紋采東方」展の開幕式に華やかに登場した。呉氏は、自身の匠の技を凝らした上汐ブランドの作品『中国茶卓』を出展。この作品はテーマ「茶を通じて道を伝える」の真髄を体現し、世界の注目を集めただけでなく、中国のハイエンドなデザインブランドの独自の魅力を示すものとなり、博覧会の重要な構成要素、そしてハイライトの一つとなった。

無形文化遺産の新生 デザインが境界を越える

2024年7月、パリのルーブル美術館で「中国の書斎」シリーズが初展示されたのに続き、上汐ブランドは再び国際舞台に登場し、2025年大阪・関西万博で「中国の茶生活」を核心テーマに「中国茶卓」家具シリーズを展示した。今回の展示は、東方美学を媒介として世界に「中国の生活美学」の深奥を伝え、中国デザインのグローバルな影響力のさらなる拡大を象徴するものである。

「中国茶卓」シリーズは、簡素で優雅なデザイン言語を用い、中国の伝統的な榫卯(ほぞ継ぎ)技術や生漆、手彫りといった無形文化遺産の手法と現代の人間工学を見事に融合させている。各展示品は、単なる工芸品ではなく、文化そのものを体現する存在である。

ほぞ継ぎ構造の革新的な応用により、家具はより安定感が増し、芸術性あふれるものとなった。生漆工芸の現代的な仕上げは、伝統の風情を保ちながら現代の美学に調和しており、手彫りの細部は各作品に独自の生命力を宿らせている。

デザイナーの呉騰飛氏は「人間工学に基づく機能の改良」を特に重視しており、たとえば茶卓の椅子の曲線デザインは人体工学を十分に考慮し、茶を味わう際に快適さと自然との調和を感じられるように設計されている。

展示では、茶芸パフォーマンス、茶器の展示、空間演出が連動し、没入型の東方美学体験を創り出した。観客は精巧な工芸を鑑賞するだけでなく、中国の茶文化における「天人合一」の哲学を肌で感じることができる。

この「茶芸+茶器+空間」による没入型体験構想により、来場者は中国伝統の茶生活のシーンに身を置き、中国文化の伝統的な生活様式を多面的に体感できる。この独自の試みは、中国伝統工芸の現代的な魅力を示すとともに、上汐ブランドが無形文化遺産工芸の現代化において革新的なブレークスルーを遂げたことを物語っている。

「東洋ファッション」国際芸術ウイークの開会式で挨拶する呉奕玎氏

6月27日、大阪・関西万博「東洋ファッション」国際芸術ウイークの開会式が開催され、日本国際博覧会協会国際関係局の折原真子連絡主任が、「東洋ファッション」の開幕を祝う挨拶を行なった。続いて、金華市工芸美術大師(名匠)で、浙江上汐家居有限公司の呉奕玎社長が、『東方美学の現代的な生命力』をテーマに講演した。東ギャラリーで行われた開会式には、博覧会組織委員会代表、博覧会博物館代表、中国工芸美術の代表、アーティストら20名を超える来賓が集まり、博覧会期間中の重要な文化行事となった。

呉奕玎社長は講演で、父であり、大国工匠・中国木彫芸術大師である呉騰飛氏の創作過程を振り返った。そして次世代の継承者として、父の芸術理念を継承しつつ、「中国茶卓」シリーズを通じて若い世代の革新的なブレークスルーを示した。「これらの作品は、先人の匠の心を継承するだけでなく、現代生活美学の新たな解釈を融合させたものです。私たちはより開かれた視点で、伝統工芸を国際舞台で新たに輝かせたい」。この言葉は、父の業績への敬意を表すだけでなく、次世代が東方美学を世界へ広めようとする強い決意を示したものだ。

東洋に浸り、未来と対話する

大阪万博の展示会場で、「中国茶卓」家具シリーズは多くの国際的な来場者の注目を集めた。来場者は伝統と現代を融合させたデザインに深い関心を示し、積極的に体験していた。ある海外の来場者は、「伝統と現代がこれほど見事に融合したデザインを目にするのは初めてだ。これによって中国文化に対する新たな認識を持つことができた」と述べた。

一方、呉騰飛氏は来場者に対して上汐茶卓の特徴を詳細に説明し、会場で茶卓の独自のほぞ継ぎ構造や生漆工芸の技法を実演した。さらに、作品に込めた「器を通じて道を伝える」というデザイン理念を解説した。茶卓の精巧な曲線美を目にした来場者たちは、次々と称賛の声を上げていた。

呉奕玎氏と日本国際博覧会協会国際関係局の折原真子連絡主任

「中国茶卓」シリーズが博覧会で初展示されたことを受け、上汐ブランドは国際化の歩みをさらに加速させる。同ブランドは、より多くの国際的なデザインイベントへの参加を計画しており、中国の無形文化遺産工芸の現代化を継続的に推進していく方針だ。東方美学をグローバルなデザイン環境で独自の輝きを放たせ、中国文化の魅力を世界に発信し、文化の対話と交流を深める旅を続けていこうとしている。