中国のAI清掃ロボットが欧州市場に進出

現在、技術革新が加速し産業変革を促進する波の中で、中国の人工知能(AI)技術は急速に発展し、応用シーンも絶えず拡大している。ドイツの工場、イギリスの物流センターからチリの農地に至るまで、中国企業は多様な場面に対してAIの革新的なソリューションを提供している。

AI清掃ロボ「小蘭鯨」

英物流拠点で効率30%向上

英国・マンチェスターにある有名スポーツ用品を扱う大型物流センターでは、室内清掃ロボット「小蘭鯨」(シャオランジン)が自ら設定したルートに沿って床を掃除していた。自動的かつ正確に微粉を認識することができ、粒子径0.1ミリメートル以上のゴミを残さずきれいに掃除する。障害物に遭遇するとリアルタイムで調整・回避し、最適なルートを算出しエネルギー消費を最小限にすることができる。

同センターの運営ディレクターのエイミー・カーターさんは、「この掃除ロボット『小蘭鯨』は人工知能(AI)技術を利用して正確で高効率の清掃作業を実現した。日常のデータの分析を通じて、清掃作業のアドバイスをすることもできる。センターの半年分近くのデータを分析した後、エネルギー消費の多いエリアの作業効率を30%向上させるアドバイスを行ってくれた。これによって予防的なメンテナンスが可能になり、効率が向上したと同時にコストが低下した」と述べた。

 

人手不足に対応

欧州で広がるスマート清掃

「小蘭鯨」は、深蘭人工知能科技(上海)股份有限公司(深蘭科技)が開発した清掃ロボットで、独自のAIコア制御システムを搭載している。コンピュータービジョンによる識別技術とマルチモーダルセンシング技術を統合し、大規模で硬質な床面の清掃・メンテナンスに適している。

1時間あたり最大2400平方メートルを清掃でき、高精度なダイナミックマップを作成。自律学習機能で清掃ルートを最適化し、ガラスなど多様な材質の障害物も識別・回避する。

また、マシンラーニング技術とAI視覚システムにより床材や汚れの種類を分析し、清掃モデルを自動で切り替えることで、清掃効果を高めつつ床面の寿命も延ばす。

イタリアの清掃サービス業者マルコ・ラバッチ氏は、「多くの欧州諸国で清掃産業は求人難や人件費高騰に直面しているが、『小蘭鯨』は昼夜問わず広範囲を清掃でき、こうした課題解決に役立つ。欧州にはビジネス建築物が多く、需要は高い。英国の大型物流センター、スペインの工場、ベルギーのスーパーマーケット、ノルウェーの体育館など各地で『小蘭鯨』が活躍している」と語った。

 

多様なニーズに対応

清掃ロボ進化と拡大へ

深蘭科技国際事業部の責任者リサ氏は、「国によってスマート清掃ロボットへのニーズはさまざまで、ソフトのアルゴリズムやハードの構造を絶えず最適化・調整し、多様なシーンに自律対応できるようにする必要がある。2年足らずの間に『小蘭鯨』は100回以上のアップデートを行い、その半数以上が顧客のニーズに基づく最適化・改良だった。当社の自動運転屋外清掃ロボットもまもなく商用化が始まり、産業パーク、公園、キャンパス、観光地などの公共空間や複雑な道路で、安全な自律清掃サービスを提供していく」と語った。