利便性を高め、健康的な食事を提供
「シニア層向け列車」で旅を満喫

4月2日夜、738人のシニア層を乗せたY440便観光列車が広東省湛江を出発し、広西、雲南、貴州、湖南、山西を経由して北上し、6880㎞を縦断して黒竜江省ハルビンに到着した。この列車は、国鉄南寧局が初めて運行した新型「シニア層向け専用列車」で、全行程にシニア層に配慮した設備が配備され、医療チームが随行する。17日間にわたる旅程で、シニア層に中国各地の美しい自然を満喫してもらうものだ。

シニア層向け観光列車

快適な長旅で人気拡大

近年、シニア層は閑散期やオフシーズンの旅行者の主役になりつつある。本年、商務部など9部問が「シニア層向け観光列車増便・サービス消費促進行動計画」を発表したことを受け、鉄道部門は観光列車の増便と路線やサービスの充実を図っている。国鉄南寧局はシニア層が旅を楽しめるよう、今年から、列車内に充電器、コンセント、レンタル用モバイルバッテリーを用意し、折り畳み式ポータブルトイレや緊急呼び出し装置を増設し、安全性と快適性を担保した。さらに、AED、電子血圧計、体温計、各種医薬品も備え、健康面からも旅をサポートしている。

「南方で冬を過ごすシニアの旅行者が、帰郷までに徐々に気温差に適応できるよう、我々は17日間の長距離ツアーを綿密に計画しました。広西・ヤオ族の薬草足湯や歌舞のパフォーマンスなども手配し、長旅を楽しんでいただいています。ツアーには医師、経験豊富なツアーガイドや乗務員も随行します」と、広西鉄路文旅集団公司観光事業部の陳俏萍副経理は語る。

4月3日朝、列車は動く舞台に変貌した。スタッフが民族衣装を身にまとい優雅に舞う。乗客も二胡やハーモニカ、フルス(雲南省などの山岳民族が使用する気鳴楽器)を次々と披露した。簸箕宴(チワン族の郷土料理を大きな箕に盛り付けた料理)では、ヤオ族の油茶、五穀米などが振舞われた。また、学びの時間を共有するなど、誰もがスマホを取り出し、特別な旅の思い出を写真に収めた。

フルスの演奏を披露した張桂英さんは「最初は緊張したけれど、家族のような雰囲気の中で、自然と打ち解けることができた」と話し、演奏を終えると、割れんばかりの拍手が起こった。夫の韓書廷さんは何度も親指を立て、「みんな、まるで青春時代に戻ったようだ」と笑顔を見せた。黒竜江省から参加した付さんは「こんな素敵な観光列車の旅が毎年企画されるよう願っています!」と話した。

一方、食堂車の厨房ではシェフたちが手際よく鍋をふるい、食欲をそそる香りが漂う。食堂車の覃美霜料理長は「栄養バランス、食材、低塩・低糖・低脂肪を基本に、炒め物、雑穀、麺類、ビーフンなど多様なメニューを用意し、満足感のあるヘルシーな食事を提供しています」と説明した。

列車は皆の期待を乗せて一路北へ。17日間で雲南、貴州、湖南、陝西各地を巡る。黄果樹瀑布の壮大な光景を間近にし、張家界天門山の雲海を愛で、秦始皇兵馬俑の歴史を探訪し、平遥古城を散策する。

 

シニア層向け旅行列車

運行拡大へ

国鉄南寧局は、今年になって5本のシニア層向け観光列車を運行し、累計3000人以上が利用したという。今月より運行する観光列車は、シニア層のために、ソフトウェアを全面的にアップグレードし、より快適な旅を創出する。今後は、季節や市場のニーズに応じて、新疆、寧夏、黒竜江などへも観光列車を運行し、より多くのシニア層に楽しい旅を提供していく方針だ。