中国で人気高まるポッドキャスト

通勤途中やトレーニング中、寝る前などに、イヤホンを付けて何かを聴いて、スキマ時間をうまく利用する人がますます増えている。ニッチな趣味から、文化現象に至るまで、ポッドキャスト業界が急速に成長し、「耳経済」が盛り上がりを見せている。

共感とつながり広げる

ポッドキャストブーム

世界の主要な業界、市場調査や消費者動向に関するデータや統計を提供する世界最大級のデータプラットフォーム「スタティスタ」のデータによると、2024年、中国語のポッドキャストリスナーは、1億3400万人に達したと見られている。これはインターネットユーザーの100人のうち12人がポッドキャストを利用している計算になる。

ポッドキャストプラットフォーム「小宇宙」の運営者・肖雄氏によると、2024年のリスナー数は前年比で約50%増加した。ミュージックプラットフォーム「網易雲音楽」の張厚シニア総監も「ポッドキャストの人気は目に見えて高まっている」と語る。

1本あたりの配信時間は十数分から1時間程度で、音声配信アプリ「喜馬拉雅(ヒマラヤ)」がIPSOSと日談公園と共同で発表した「2024年ポッドキャスト業界報告」では、76.2%のユーザーが「1日30分以上聴いている」と回答した。

では、なぜそこまで人々を惹きつけるのか。

リスナーの劉さん(27歳・男性)は、「ショート動画が断片的なのに対し、ロングオーディオは情報を整理して深く理解できる。特にテック系やビジネス系の番組をよく聴いている」と話す。蘇さん(女性)は「まるで友達の声を聞いているような親しみがある」とし、リスナー同士の交流も楽しんでいるという。

中国人民大学新聞学院の高貴武主任は、「ポッドキャストは情報だけでなく、感情や共感、社交性など多面的な価値を提供している」と指摘する。張氏も「リスナーの深い共感や多様な生活シーンに応えることが、音声コンテンツの強みだ」としている。

ポッドキャストのクリエイター・程衍樑さん

 ポッドキャストのクリエイターである程衍樑さんは、「ポッドキャストの商業的ポテンシャルが拡大期に突入している。数年前と比べると、中国語のポッドキャストの分野において、マーケティングのために資金を投じたり、広告を出したりすることを望むブランドがどんどん増えており、関係する業界が特に多くなっている」とする。

リスナーの商業化に対する受容度も高まっている。「2024年ポッドキャスト業界報告」によると、調査に答えたリスナーの45.9%が、「過去1年に、有料のポッドキャストのコンテンツを利用したことがある」、63.6%が「ポッドキャストの広告を受け入れることができる」と答えた。