中国では、ドローンを活用したフード・ドリンクのデリバリーサービスを導入する観光地が増えており、観光客の間で人気を集めている。スマートフォンで注文すれば、山の頂上にいながらにして、蒸したての中華まんやホカホカのドリンクを楽しめるという画期的なサービスだ。
今年の春節(旧正月)連休期間中、北京の万里の長城・八達嶺長城景勝地には多くの観光客が訪れ、賑わいを見せた。そして、山の上空や城壁を飛行しながら、フードやドリンクを配達するドローンの姿が、観光客の注目を集めた。
注文が入ると、ドローンは長城の麓にある歩行者天国の飲食店で準備された商品を、南五楼に設置された受取ポイントまで運ぶ。観光客が専用アプリで注文すると、調理・積み込みの時間を含め、およそ15分でドローンが到着。配達後はスタッフが商品を取り出し、観光客に手渡す仕組みだ。
ドローンが空から降下し、受取ポイントに到着するたび、多くの観光客が興味津々でスマートフォンを構え、写真や動画を撮影。スタッフに使い方を尋ね、自分でも注文する人が後を絶たなかった。
受取ポイントのスタッフ・翟羽佳さんは、「春節期間中はドローンがほぼフル稼働していました。昨年の国慶節(7連休)の時期よりも忙しかったですね」と振り返る。八達嶺長城では昨年8月、北京市内初のドローン定期航路が開設されており、観光客の利便性向上に貢献している。
湖北省から訪れた観光客・呉昊松さんは、「ドローンによるデリバリーの話は聞いたことがありましたが、本当に実用化されているのか半信半疑でした。実際に体験してみると、とても便利でした」と驚きを隠さなかった。また、他の観光客からも「斬新なサービスで、とても親切」「予想以上に精度が高く便利」「中国のテクノロジーの高さを実感した」といった声が多く聞かれた。
報道によると、昨年下半期から現在にかけて、山東省済南市の千仏山、湖北省武漢市の竜霊山生態公園、浙江省杭州市の余杭径山鎮小古城村、四川省成都市の麓湖水線公園、安徽省合肥市の浜湖国家森林公園など、多くの観光地がドローンデリバリーを導入している。
さらに、広東省深圳市の筆架山体育公園や深圳湾公園では、約10本のドローン航路が整備され、今年の春節期間中にはECプラットフォーム・美団のドローン配達が1日最大約200件に達した。これは、受取ポイントの営業時間内で平均2分に1回、ドローンが到着していた計算になる。
中国政府は、「低空スマート物流」「低空経済の応用シーン」「低空製造産業」などのキーワードを2025年の政府活動報告に盛り込み、「低空経済」の発展を積極的に推進している。
ドローン技術の専門家である北京航空航天大学の蒙志君教授によると、ドローンによるデリバリー技術はすでに成熟段階にあり、特に位置測定技術や視覚認識の進化がその発展を加速させている。一部の高性能ドローンは高度な自律飛行が可能となり、リアルタイムで状況を判断しながら飛行することができるという。
また、人工知能(AI)との融合も進んでおり、AI技術の活用により、より効率的かつ正確な飛行が可能になっている。こうした技術革新は、ドローン物流の実用化をさらに加速させている。
観光地でのドローンデリバリーは、利便性向上に寄与するだけでなく、中国の「低空経済」戦略の一環としても注目されている。政府の支援と技術の進歩により、今後も導入が拡大し、ドローン物流の未来が大きく拓かれていくことが期待される。
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