「日本社会に本当の中国を伝えたい」
――日本のドキュメンタリー監督・竹内亮氏に聞く

先日、日本のドキュメンタリー監督である竹内亮氏の新作『再会 長江』が日本で再上映された。この作品は2024年4月の初上映後、再び観客の注目を集め、日本人の間で中国への理解を深めたいという関心が高まっていることを示している。竹内氏はインタビューでこう語る。「私の作品を通じて、日本社会に本当の中国を伝え、多くの人が中国を知り、訪れるきっかけを作りたい」。

2023年5月、竹内氏の『再会 長江』や『華為の100の顔』など4本のドキュメンタリーが東京・有楽町で1週間上映された。2024年4月には劇場版『再会 長江』が公開され、主要メディアから高評価を得たほか、日本のアート系映画の興行収入ランキングで1位を記録。この129分のドキュメンタリーは、上海から長江を遡り、沿岸地域の経済発展や住民の生活の変化を記録したものだ。「『再会 長江』を見た日本人観客から、中国に好印象を持ち、実際に訪れてみたいと感想をいただきました」と竹内氏は語る。

竹内氏が初めて長江を撮影したのは2010年。当時NHKに勤務していた竹内氏は、中国を訪れ『長江 天地大紀行』を制作。この作品は日本で放送され、注目を集めたが、竹内氏自身は満足していなかったという。「当時、中国の景観や文化に惹かれましたが、中国語が話せず、中国人の生活や考えを深く知ることができなかったのです」。より深い理解を求めて仕事を辞め、家族と共に南京に移住。「中国に住むことで、急速な発展と変化を肌で感じました」。南京は今や竹内氏の「第二の故郷」となっている。

再び長江を撮影する理由について、竹内氏はこう語る。「長江は日本人にとって特別な魅力があります。アジア最長の河川で、三国志の名所も多い。今回の撮影では、中国の広大さや文化の深さ、経済の発展、そして人々の生活の変化を伝えたいと考えました」。

青海省の沱沱河(トト河)沿いでは、ゴミを持参すると無料でコーヒーがもらえる仕組みに感銘を受けた。エコボランティアがゴミの情報を記録し、企業にフィードバックする取り組みも進んでいる。「中国の環境意識が高まっていることを実感しました」。また、長江禁漁令の実施後、元漁師がシロイルカ保護活動に携わり、デジタル技術を活用した環境保護も進展している。「長江の水質は改善され、環境は美しくなり、シロイルカの数も増えています」。

湖南省岳陽では、現地農業の近代化が進む様子に注目。「小エビを使った害虫駆除やスマホアプリでの農産物販売、ドローンを活用した農業技術が広まっており、特に50代以上の農家が積極的に取り組んでいる点には驚きました」。

ドキュメンタリーには、チベット族の少女・仁青茨姆(じんせい・ツム)の生活変化も描かれている。10年前、雲南省シャングリラで羊を抱いて観光客と写真を撮り生計を立てていた茨姆は、努力の末、民宿を営む夢を叶えた。「2023年にはシャングリラに高速鉄道が開通し、アクセスが格段に向上しました。これが中国のスピードです」と竹内氏は語る。

インタビューの最後に竹内氏はこう締めくくった。「6,300キロの長江を2度旅した日本人はおそらく私だけです。10年後、20年後にまた長江を訪れ、その変化を記録したいと考えています。その時、長江はどのような姿を見せてくれるのか、今から楽しみです」。