2025年世界経済予測

世界経済成長率

2025年は3.1%予測

2024年の世界経済は強い回復力を示したが、FinGroupの予測によれば、2025年の経済は安定した成長を維持するものの、加速する見込みはない。また、予想を下回るリスク要因も存在している。

米国:雇用市場は引き続き冷え込むと見られ、FRBの金融引き締め政策が経済活動を抑制する見通しである。この影響で、大統領選挙後の株式市場の活力が弱まる可能性がある。

欧州:内政の不確実性とトランプ政権による関税貿易戦争が、経済見通しに課題をもたらすと予測される。先進国経済の2025年の成長率は1.6%と予測され、2023年および2024年とほぼ同水準となる見込みである。

中国:不動産市場は依然として低迷する可能性があるが、消費は徐々に回復すると考えられる。一方で、米中新貿易摩擦がいつ発生してもおかしくない状況にあり、中国経済にはさらなる不確実性をもたらす可能性がある。成長率は5%前後と予測されている。

インド:「フレンドショアリング」や「人口ボーナス」の利点を享受しているものの、インド中央銀行による金融引き締め政策が成長の障害となる可能性がある。新興市場経済の2025年の成長率は4.3%と予測されており、2024年と同水準だが、2023年の4.6%をやや下回ると見られている。

 

トランプ政権が

経済に与える影響

経済成長と株式市場:トランプ政権の政策により、2025年の米国経済はわずかに成長が加速する可能性がある。2017年の減税政策(TCJA)の延長が期待されており、企業投資を後押しすると見られる。一方、株式市場の上昇が高所得世帯の資産を増加させ、消費を安定させる効果が見込まれている。これにより、GDP成長率は1.8%程度にとどまると予測されている。

移民政策:不法移民50万人の追放計画が進められる見通しである。これにより関連支出が内需を支える一方、不法移民の減少が消費需要を弱め、経済成長に一定の影響を与えると考えられる。

エネルギー政策:LNG輸出禁止令の解除や水圧破砕法による資源開発が支持されている。これらの措置によりエネルギー生産量が増加し、低エネルギーコストが企業投資を促進すると見られている。

貿易政策:2025年後半から関税の引き上げが計画されており、新たな貿易摩擦を招く可能性が高い。関税収入は増加するが、企業コストの上昇や利益率の圧迫が懸念される。

 

中国経済の展望:

成長の鍵は刺激策と関税

中国は現在、経済成長を後押しする政策に注力しており、成長率は5%に達する可能性がある。しかし、2025年に予想される米中貿易戦争が不確実性をもたらしている。成長を左右するのは、①米国の関税政策の影響範囲と時期、②中国の景気刺激策の効果である。これらの要因により、中国経済の将来像を明確に描くことは難しい状況である。

 

日本経済の展望:

成長加速と利上げの可能性

日本銀行は2025年に積極的な利上げを実施すると見られている。賃金上昇や円安がインフレ率の押し上げ要因となり、2%のインフレ目標達成が現実味を帯びている。当社の予測では、2025年1月に政策金利が0.25ポイント引き上げられ、最終的に1.0%に達する可能性がある。市場予想を上回る利上げにより、日本経済の成長加速が期待される状況である。

張 益偉 Choko Zhang

上智大学卒業し、金融工学専攻。特許金融分析師(CFA)と金融リスクマネージャー(FRM)の資格を保有しています。卒業後、方正証券の半導体セクターアナリストとして2年間の経験を積み、現在はFingroupでストラテジストアナリストとして勤務しています。