「心のふるさとに響くメロディー」
董恒コンサートが盛大に開催

12月21日、新中国建国75周年を記念して開催された「心のふるさとに響くメロディー」董恒コンサートが、東京YWCA会館カフマンホールで開催された。このコンサートは日中東方音楽交流会が主催し、中華人民共和国駐日本大使館文化部と公益財団法人東華教育文化交流財団の後援を受け、公益財団法人松山バレエ団、関東日中平和友好会、山梨県日中平和友好会、日本泉州商会など多くの団体の協力によって実現した。

中国駐日本大使館の 岑松一等書記官は挨拶の中で、日中東方音楽交流会代表の董恒氏が1992年より元東京音楽大学教授の芹沢文子氏と共にふれあいコンサートを継続して開催し、音楽という独自の言語を通じて中日友好を促進し、両国の理解と信頼の深化に多大な貢献をしてきたことを高く評価した。また、困難に直面しても決してひるむことなく努力を重ね、中日友好の架け橋としての役割を果たしていると称賛した。

東京都日本中国友好協会の永田哲二副会長は、日中友好活動に23年間携わってきた自身の経験から、董恒氏と日中東方音楽交流会が様々な友好交流活動を継続的に主催・参加してきた意義深い取り組みを間近で見守ってきたと述べた。そして、多くの参加者が待ち望んだ「ふるさとのメロディー」に耳を傾けるコンサートが成功裏に終わることを心から祈念した。

コンサートでは、日中東方音楽交流会代表であり歌手でもある董恒氏が、「在那遥遠的地方(あの遠いところに)」「草原昇起不落的太陽(草原に沈まぬ太陽が昇る)」など中日両国の名曲10曲を披露した。董恒氏の日本名は吉崎恒子。彼女の父は、新中国の音楽発展に貢献した著名な教育者、音楽理論家の董清才であり、母は日本の新潟出身で、中国語名を東方といった。家族の影響を受けた董恒氏は、幼少時から元伯萱指導のもとで声楽を学び、その後、張淑霞と姚勇に師事した。吉林芸術学院在学中は、幸いに中央音楽学院の名教授である郭淑珍や沈湘から指導を受ける機会にも恵まれた。1982年、母とともに日本に戻った董恒氏は、東京音楽大学大学院に入学して声楽を学び、日本の著名な文学者である芹沢光治良の娘、芹沢文子の弟子となった。その後、東方歌舞団の元団長で人民芸術家である王昆が来日した際、直接発声法の指導を受け、帰国後も長期にわたり手紙を通じて助言を続けた。また、父・董清才の弟子である秦咏誠や張絃らも、董恒氏のプロとしての成長と公益活動への取り組みに対し、継続的な支援を惜しまなかった。

日中東方音楽交流会は、設立から30年以上にわたり平和友好コンサートを開催してきた。董恒氏自身も感謝を込め自費でCDを制作し養父母へ贈呈、日本人孤児が中国の養父母を訪問する「感謝の旅」というチャリティー活動に、10年以上連続して参加している。さらに、チャリティー公演や募金活動、反戦コンサートも開催されるなど幅広い活動を展開している。また、董恒氏はこれまでに70曲以上の中国と日本の名曲を翻訳しており、その中にある「理想は平和」という歌詞は、彼女の信念と理念を的確に象徴するものとなっている。

董恒氏は、父・董清才の弟子である秦咏誠が作曲した「私とわが祖国」を中国語と日本語で歌う前に、父の波乱に満ちた人生を懐かしそうに振り返った。台湾で生まれた董清才は、日本に留学して青春時代の最良の時期を東京で過ごし、生涯の伴侶と出会った。学業を終えた後、董清才は妻とともに中国東北部に渡り、志を同じくする音楽家たちとともに東北師範大学音楽学院(旧音楽学部)と吉林芸術学院(旧吉林芸術専科学校)の設立に尽力。新中国のために数多くの優れた音楽家を育成した。

 

「蘭花と蝶々」の中で「祖国の宝島、我が故郷」と歌い上げた後、董恒氏は少し前に亡くなった音楽家・谷村新司を偲び、彼の名曲「昴」に再会と別離の5年間を重ねた新たな解釈を加え、熱唱した。さらに、父の遺志を継いだ兄・董真光が、父の初稿をもとに創作した「郷愁」を心を込めて歌い、聴衆の感動を呼び起こした。「音楽はどんな時でも魂を癒し、希望を生む力がある」という両親の言葉は、董兄妹の心に深く刻まれている。朝日新聞、東京新聞、読売新聞、NHKテレビなど日本の主要メディアは、董恒氏一家の歩みを次々と報じた。また、『人民日報海外版日本月刊』は、中日国交正常化50周年と董恒氏の来日40周年を記念して、董恒氏にインタビューを行った。

在日で活躍する「黄梅劇」の名優であり、四川の変面芸で知られる芸術家・王文強氏は、神業ともいえる超絶的な演技で会場を沸かせた。二胡の名手・甘建民氏は、名曲「光明行」を力強く美しく奏で、王敏氏と渡邉美姫氏の母娘連弾では、悠揚たる古筝曲「高山流水」を通じて中国伝統芸術の魅力を観客に届けた。また、ヴァイオリン奏者の栗山ひろみ氏とピアノ伴奏者の境田直美氏は、西洋音楽の美しいハーモニーを響かせ、テノール歌手の劉子真氏は、その澄み渡る柔らかな声で李商隠の名作「錦瑟」に込められた深い情感を表現した。さらに、高薇清氏の完璧なピアノ演奏は、董恒氏の歌唱を一層引き立て、観客を魅了した。

5年ぶりに開催されたこの記念コンサートは、平和を愛する中日両国の友好的な聴衆で満席となった。平和を願う董恒氏は、充実した精神状態と深みのある歌声で圧巻のパフォーマンスを披露し、客席からは「すごい!」「本当に素晴らしい!」と感嘆の声が相次いだ。その変わらぬ姿と絶え間ない努力に、多くの観客が感動の涙を浮かべた。

コンサートは日本の孤児たちに無料で開放された。会場には、5年ぶりの開催を祝祭のように楽しみ、華やかに着飾った高齢者の姿も多く見られた。若者だけでなく、親に付き添われた子どもたちもコンサートを楽しみ、平和を願い、故郷を讃える歌声に耳を傾けながら、世代を超えた中日友好の思いを心に刻んでいた。

董恒氏は、このコンサートの開催に多大な支援をしてくれた源清田商事の王秀徳社長に加え、これまで彼女を支え、励まし続けてきた中国と日本の友人たち、そして観客に深く感謝の意を述べた。コンサートは無事に幕を閉じ、「ふるさと」を合唱する歌声が会場に響く中、舞台の上と下で中日両国の平和な発展と明るい未来が訪れることを共に祈った。