日本の暗号資産に関する法制度ガイド その80

一般法人日本暗号資産取引業協会(以下「認定協会」という)は、金融商品取引法関連自主規制規則として、業務取扱関係、顧客財産管理・システム安全管理等、勧誘・広告、AML/CFT・反社会的勢力対応、事故確認申請、苦情・紛争解決、金融商品仲介業者、従業員服務、外務員登録、金融商品仲介業者などを規定しております。

今回は認定協会の業務取扱関係の「暗号資産関連デリバティブ取引業に係る不公正取引等の防止に関する規則・ガイドライン」(以下「不公正取引防止規則」という)を紹介します。

  • 社内規則の制定

「不公正取引防止規則」第3条によると、第一種会員(デリバティブ) は、不公正取引の防止に関して、次の各号に掲げる事項について規定した社内規則を定めなければなりません。

(1) 不公正取引の類型に関する事項

(2) 取引審査の業務を担当する部門並びにその権限及び責任に関する事項

(3) 顧客の取引動向及び取引動機等の的確な把握に関する事項

(4) 取引審査を行うに当たり参考とすべき情報に関する事項

(5) 取引審査の対象となる顧客又は取引の抽出に関する事項

(6) 取引審査の方法及び判断に関する事項

(7) 取引審査の結果に基づく措置に関する事項

(8) その他必要と認められる事項

 

  • 取引審査部門の設置等

「不公正取引防止規則」第4条によると、第一種会員(デリバティブ) は、取引審査業務を担う部署(以下「取引審査部門」という。)を設置しなければなりません。第一種会員(デリバティブ)は、取引審査業務が適切に行われるように、当該業務に従事する役職員に対し、適宜、教育研修及び業務指導等の実施に努めなければなりません。

また、第一種会員(デリバティブ)は、公正かつ適切な取引審査の実施に適した組織及び人員配備その他必要な措置を施さなければなりません。第一種会員(デリバティブ)は、取引審査部門並びにその責任者及び担当役員を、「暗号資産等関連デリバティブ取引業に係る受注管理体制の整備に関する規則」第3条に定める受注管理部門から独立させるものとします。

さらに、取引審査体制の実効性を確保するために、第一種会員(デリバティブ)は、「不公正取引防止規則」第3条により定める社内規則に基づき、適時、顧客の行う暗号資産等関連デリバティブ取引の動向の確認及び不公正取引に関する情報の収集を図り、不公正取引を監視しなければなりません。この監視の結果、不公正取引が疑われる状況を検知した場合には、当該顧客の属性、取引目的等を的確に把握し、不公正取引の該当性を判断しなければなりません。

上記のように、第一種会員(デリバティブ)は、暗号資産等関連デリバティブ取引の実態に応じて、定期的に社内規則の内容を見直し、取引審査体制の実効性を確保する必要があります。

 

次回へ続く